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2009年8月6日発行

総務環境委員会(8月4日)
うめはら紀美子副委員長 くれまつ順子議員

地域委員会
モデル実施も住民合意得て慎重に

8月4日の総務環境委員会では、地域委員会(仮称)の初の質疑が行われました。

地域のことを地域住民が決めて解決していくことは一般的に言って良いことです。だからこそ、地域委員会は住民の充分な理解や合意を得てすすめていくべきであり、また、市民であればどこに住んでいても福祉や子育ての市民サービスを等しく受けられるとの住民の権利をきちんと押さえねばなりません。

「まだ生煮えの状態」(市)

くれまつ議員は「待機児童の多い区での保育所整備はどう考えるのか。全市的な計画に沿ってすすめると思うがどうか」と質問。市は「子育てを助け合う仕組みをNPOなど活用してつくる。ボランティアに限らない」と答弁しました。また、「中学校区単位ではどのような地域課題を想定しているのか」と質問には「川を跨ぐ清掃活動など地域ごとの実状で広めに設定できる」と答えるにとどまり、限度額や今の補助金の扱いは「検討中」との答弁でした。また、全体の質疑の中で地域委員会の「解決したい地域課題」とは複数ではなく1つにしぼることも明らかになりました。

くれまつ議員の「市民全体に説明はどうするのか」との質問には「まだ生煮えの状態。住民への説明は今後検討していく」と答弁。くれまつ議員は「モデル実施は慎重にするべき」と主張しました。

他には、「モデルでも失敗は許されない」「地域委員会全体で選挙費用など総額はいくらかかるのか。地域委員会に対応する職員は何人いるのか。施策の上乗せ・横出しができるのか」などの質問が出されました。市は検討項目をつめて、11月議会に補正予算案を出すこと等を表明しました。

地域委員会(仮称)について(資料より抜粋)

1 創設の目的 住民自らが、地域課題を解決するための市予算(税金)の一部の使い途を議論し、その結果を市が予算措置から執行まで責任をもって実行する新しい住民自治の仕組みとして、地域委員会(仮称)の創設を検討する。創設により、地域の意見・要望の行政へのきめ細かな反映、地域内分権による住民の行政への参画及び地域コミュニティのさらなる活性化を目指す。

2 制度設計のポイント

  1. 地域委員会は、住民参加のもと、公開の場で、一定規模以上の「地域予算」(生活に密着した事業などの予算)の使い途を決定する役割を担う。
  2. 地域は、小学校区または中学校区単位とする。
  3. 委員は、地域内の住民の中から公選に準じた方法により選ばれた数名とする。
  4. 地域活動を通した視点からの意見を取り入れるため、各種地域団体代表等で構成する諮問会議を置く。
  5. 地域委員会で決定された「地域予算」の使い途については、市が予算案の一部として市会に提案し、予算成立後、市が責任を持って執行する。
  6. 地域委員会の審議・決定をはじめ、必要な調査・情報収集活動をサポートするため、一定数の市職員を配置。

3 モデル実施内容(検討案)

当面モデル実施とし、他都市の状況やモデル実施の実績を十分検証した上で本格的な導入をめざす。

  1. モデル地域の選定 ○1区1地域を目安とし、小学校区または中学校区単位とする。○モデル地域は、学区連絡協議会からの申請または学区連絡協議会の推薦を受けた者からの申請により、市長が選定する。○申請に当たっては、解決したい地域課題が明確であることを要件とする。
  2. 委員の選任 ○住民の中から立候補した者や学区連絡協議会から推薦された者について、投票を経て市長が選任する。○選任方法 (1)案 公募型 (2)案 公募・推薦併用型 (3)案 学区連協活用型 引き続き検討する。
  3. 諮問会議等の設置 ○各種地域団体代表等で構成する「諮問会議」や、幅広い視野で意見を述べる職として「参与」の設置を検討する。
  4. 「地域予算」の考え方 ○予算額は地域の規模に応じて、あらかじめ限度額を設ける。○「地域予算」の対象は (1)地域内の安心・安全の確保 (2)地域特性を生かしたまちづくりや地域魅力の創出 (3)福祉、子育て等、地域ぐるみの活動の展開 (4)環境、美化等、快適なまちづくりの推進 (5)地域の歴史、電灯、文化等の継承、発展 (6)地域のスポーツ、レクリエーション活動の活性化 ○国・県など市以外に決定権限のあるものや全市的な施策・計画に沿って計画すべきもの、現金給付等は対象外とする。
  5. 会議は公開で地域内にある公共施設等を活用。

4 早期にモデル地域及び委員の選任を行い、「地域予算」案を来年度予算案に反映させる。来年度以降、通年でモデル実施を行い、実績を十分検証した上で本格導入。