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2006年8月25日発行

8月25日 総務環境委員会(うめはら紀美子、田口一登)

請願審査で田口議員が意見
小泉首相の靖国参拝は許し難い暴挙

宗教者のみなさんから出された「小泉内閣総理大臣に靖国神社参拝の中止を求める請願」が審査されました。小泉首相が参拝を強行したことから「審査打ち切り」となりましたが、田口一登議員が糾弾する意見を述べましたので要旨を紹介します。

田口一登議員の意見(要旨)

小泉首相は、8月15日の終戦記念日に靖国神社参拝を強行しましたが、自分の行為が日本外交の深刻なゆきづまりをもたらしていることへの一片の反省もなく、「あとは野となれ山となれ」という無責任ぶりを示したものであり、許しがたい暴挙です。

A級戦犯を美化する靖国神社

私は、靖国神社には二つの重大な問題があると考えます。一つは、A級戦犯が合祀されたことです。これは私が靖国神社へ行ってもらってきた「やすくに大百科」というリーフレットです。この中では靖国神社に祀ってあるA級戦犯について「戦後、日本と戦った連合軍(アメリカ、イギリス、オランダ、中国など)の、形ばかりの裁判によって一方的に“戦争犯罪人”という、ぬれぎぬを着せられ、むざんにも命をたたれた……方々を『昭和殉難者』とお呼びしていますが、すべて神さまとしておまつりされています」と書いてあります。

実は、最新版のリーフレットでは、「ぬれぎぬを着せられ」という言葉が、さすがにいいすぎだと考えたのか、削られていますが、要するに、A級戦犯を「昭和殉難者」といって美化し、日本には戦争犯罪などなかったというのが、靖国神社の公式の立場なのです。この神社に首相が参拝することは、日本政府が、戦争犯罪そのものを否定するという立場に立つという意味をもたざるをえません。

「日本の戦争は正しかった」

もう一つの問題は、靖国神社が、日本の戦争を「正しい戦争だった」とする宣伝センターになっていることです。靖国神社には遊就館という「日本最古の軍事博物館」があります。私も遊就館を見学しましたが、展示や上映されている映画は、太平洋戦争について「日本参戦を仕掛けた米国の陰謀」だったなどと、日本の戦争は、「自存自衛のための避けえなかった戦争」で、侵略戦争ではないという立場で貫かれています。靖国神社とは、「日本の戦争は正しかった」という戦争観、歴史観を日本の国民に吹き込む特定の政治目的を持った運動体であるということをおさえておかなければなりません。

侵略戦争の正当化にお墨付き

小泉首相は靖国参拝について、「戦没者への追悼のため」といいます。私は、一般の国民のみなさんが参拝するのと、国政の最高責任者である首相が参拝することは、まったく違った意味をもっていると思います。靖国神社は、自らの使命は、「英霊の武勲の顕彰」だと述べています。これは戦争で亡くなった方々を追悼することではありません。あの戦争を正当化する立場にたって、その戦争での「武勲」、つまり戦争行為そのものをたたえるということです。首相がこの靖国神社に参拝することは、侵略戦争を正当化するこの神社の戦争観に、日本政府の公認というお墨付きをあたえることになります。ここに首相の靖国参拝問題の核心があると考えます。

次期首相の参拝も中止を

「日本の戦争は正しかった」という靖国神社の歴史観、「靖国史観」を認知することは、日本・ドイツ・イタリアの侵略戦争を断罪し、反ファシズム・反軍国主義を土台に出発した戦後の国際社会の秩序を崩すことにつながります。だから、首相の度重なる靖国参拝にたいして、国内のみならず、中国や韓国などアジアの国々、さらにアメリカやヨーロッパでも批判を浴びているのです。

このあと誰が首相になろうとも、首相の靖国参拝によって行き詰った日本の外交をこのまま続けることは許されません。次期首相の靖国参拝は中止するよう求めるものです。