日本共産党名古屋市議会議員団Webサイト
2006年3月4日発行

本会議・代表質問(3月3日)田口かずと議員

市議会の録画中継をご覧下さい。

オール与党市政の悪政
小泉政治と大企業にべったり 市民への負担増やめよ

田口かずと議員田口かずと議員は、小泉「構造改革」による格差社会と貧困の広がりのもとで、名古屋市政が何をすべきかについて、市長の見解をただしました。

格差と貧困の拡大を助長

田口議員は、「構造改革」と「愛知万博」で元気になったのは一部の大企業のみで、格差と貧困が広がっている実態を示し、「名古屋市の予算は市民への負担をさらに押しつけ、格差と貧困を拡大しようとしている」と厳しく批判しました。市長は「貧困や格差が広がっているとは断言できない」と答えました。

名古屋市の生活保護世帯数の推移のグラフと名古屋市の就学授助認定率の推移のグラフ

痛み続々
就学援助を削減介護保険は大幅値上げ

小泉内閣の庶民増税によって、所得税だけでなく市民税など85億円もの市民負担増があります。そのうえ新年度予算案では、介護保険料(基準額)の4割もの値上げ、公共施設使用料や保育料の値上げ、就学援助の改悪や生活保護への法外援助の廃止、自立支援の名による障害者福祉の切り捨てなどで90億円以上もの負担増が市民を襲います。田口議員は、「介護保険料の大幅値上げをやめ減免制度の拡充を」と求めました。

 

小泉増税で負担増は雪だるま式
敬老パスは6万人が5倍に値上げ

小泉内閣の庶民増税で所得税や住民税だけでなく、国民健康保険料や介護保険料、保育料、敬老パス負担金など、市の制度も雪だるま式に負担増になります。とりわけ敬老パスは、収入は同じでも非課税世帯から課税世帯となる人が6万人も増え、負担金は1,000円が5,000円と5倍になります。田口議員は、「無料にすれば解決する。軽減策を」と求めました。市長は「負担の公平をお願いする」と冷たく答弁しました。

2006年度から市税収入に影響する主な税制改悪
区分 改正事項 影響額
今年 平年
個人市民税 16年度税制改正 65歳以上の公的年金の最低保障額を引下げ(140万円→120万円) 7億円 7億円
65歳以上の老年者控除の廃止(48万円の控除廃止) 15億円 15億円
17年度税制改正 定率減税を1/2に縮減(控除率15%→7.5% 限度額4万円→2万円) 52億円 59億円
65歳以上で所得金額125万円以下の者は非課税→3年で段階的に廃止 1億円 2億円
市たばこ税
18年度税制改正
税率の引上げ 10億円 14億円

 

市民不在の「行財政改革」
保育園は民間化、財界には公的支援

松原市長は、「小さな市役所」「民間でできることは民間で」と行財政改悪を進め、「受益者負担の原則」をとっています。田口議員は、午後7時まで時間延長するトワイライトスクールのモデル事業を「無料」で始めることについて、「受益者負担の原則」は筋の通らないことをただすといともに、財界主導で誘致した名古屋ボストン美術館への税金投入など、自治体の責務についてその本旨に立ち返ることを求めました。

 

市民不在の市政を許さない

市立則武保育園(中村区)の民営化について、田口議員は「老朽化した施設を放置し、市職員の削減を理由に廃園・民営化することは、コスト優先で子どものことを考えていない」と厳しく批判し、「廃園・民営化は撤回し、再検討せよ。則武保育園の保護者たちが市長への面会を求めているに、市長は、どうして保護者の声を直接聞き、市長の考えを説明しようとしないのか」と市長の姿勢をただしました。

 

税金は市民の福祉・暮らしにまわせ

松原市政は、市民には負担を押しつける一方で、財界・大企業には税金をふんだんに投入し、優遇する市政を続けています。

莫大な費用の本丸御殿復元
急いで進める必要があるのか

万博でも盛んに宣伝された「産業・技術の名古屋」。名古屋市とその周辺には自動車や陶器等の企業博物館・展示館がたくさんあります。松原市政は、新たに産業技術未来博物館構想を打ち上げていますが、田口議員は「民間でできる分野でないのか。市が新たな箱物を作る必要性はない」とただしました。

また、名古屋城本丸御殿の復元計画(事業費150億円=97年当時の試算)について田口議員は、「復元に莫大な財政負担が懸念される。この出費が優先され、市民への負担増や市民サービス低下が繰り返されるようでは問題だ。市民あげての熱望を欠いたまま、急いで進める必要があるのか。慎重に検討すべきでないか」と厳しく批判しました。

大型開発と大企業支援

  • 超高層ビル(16億円の補助。06年度までの累計で約60億円)
    トヨタ・毎日ピル(ミッドランドスクウェア)
    牛島南ビル(ルーセントタワー)
    三井ビル(モード学園スパイラルタワーズ)
  • 「ささしまライブ24」整備
  • 徳山ダム…導水管の整備へ。
  • 外資系企業の誘致推進
  • サイエンスパーク(用地買収と助成金で16億9400億円)
    「テクノヒル名古屋」への企業誘致
  • 土地開発公社への利子補助(20億円)
    塩漬け土地の借金のツケ払い

 

子どもの医療費無料化の拡大など
少子化対策の充実を優先せよ

少子化対策について、田口議員は、その原因は若者の多くが非正規職員化されていることを指摘し、市役所が率先して新規職員の採用を増やすように求めました。同時に、子育て世代の経済的負担の軽減のため、「子どもの医療費無料制度を中学校卒業まで実施を」と強く要求しました。

 

戦争協力の「国民保護計画」

国民を戦争協力に導く「国民保護計画」の策定がされようとしていますが、田口議員は、「計画の中心は有事の際の避難計画だが、テロは事前に予測できない。テロそのものが犯罪であり警察が取り締まり対処すべきだ。震災や災害は人間の力で防げないが、戦争は外交と政治の力で抑えることができる。憲法9条の立場での平和外交の努力こそ重要だ」とただしました。

 

代表質問と答弁(骨子)

1 格差社会と貧困の広がりに対する認識と90億円の負担増が与える影響をどう思うか。

【市長】格差や貧困が広がっているとは断言できない。負担の先送りはできない。

2 市民への負担増について。

(1)就学援助の所得基準額を引き上げるのは格差社会の是正に反するのではないか。

【市長】行政評価でも指摘されており見直す。真に援助を必要とする方は支援する。

(2)介護保険料の大幅値上げに胸が痛まないか。

【市長】段階を細分化し、経過措置もある。

(3)庶民増税で敬老パスが5倍に値上げになる人がでる。

【市長】負担の公平である。

(4)「受益者負担」論は破綻。トワイライトスクールのモデル事業で明らかだ。

【市長】教育事業なので無料にする。

3 行財政改革について。

(1)市立則武保育園の廃園・民営化はやめ、父母と会って話を聞くべきだ。

【市長】社会福祉審議会も民営化を具申しており、職員削減の面からも民間で行う。担当が個別に相談する。

(2)名古屋ボストン美術館への財政支援はやめなさい。

【市長】市の文化振興に寄与する文化施設なので、支援したい。

4 市長の「ポスト万博」4大プロジェクトについて。

(1)産業技術未来博物館構想で「市民と先端科学技術のふれあいの場」は見通しがない。

【市長】錯綜する点もあり、しっかりと調査し、すすめる。

(2)名古屋城本丸御殿の復元は市民の熱意もなく急ぐ必要はない。

【市長】2010年度には一部復元する。

5 少子化対策について。

(1)市職員の新規採用の拡大を。

【市長】就労支援は必要だが、定員管理は厳しくする。

(2)子どもの医療費無料化を中学生まで拡大せよ。

【市長】小学生3年生までの入院を無料対象とした。

6 国民保護計画は作る必要も意味もない。

【市長】市民の意識を考慮しつつ、法に基づき作成する。