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2005年10月28日発行

本会議(10月28日) 山口きよあき議員の反対討論(要旨)

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市民負担増と疑惑まみれ、ムダづかい

山口きよあき議員昨年度、小泉内閣が進めた「三位一体改革」は、わずかな税源移譲と引き替えに、国庫補助負担金や地方交付税の削減など、地方に重い負担をかぶせました。

その結果、本市の影響額は、マイナス172億円にのぼり、介護や障害者の施設補助が削られたり、整備が先送りされるなど、本議会が承認した予算執行にも重大な支障が生じました。

そしてトップダウンの予算編成で、事業の廃止・縮小が進められ、敬老パスの有料化など、受益者負担の名で多額の負担が市民に転嫁されたのです

高齢者に54億円もの負担増

反対理由の第1は、敬老パスの有料化をはじめ高齢者に54億円もの新たな負担増を強いたことです。市長は「高齢者から少子化へ予算をシフトした」と言いいましたが、高齢者福祉の後退は、市民生活を直撃しました。敬老パスの有料化で市民負担は約10億円増えました。80%を見込んでいた交付率は結局、74%にとどまり、路線再編ともあいまって、パスを使った市バスの乗客も1割以上減りました。

敬老パスの目的は、高齢者の社会参加の促進、健康の増進です。行政評価での成果指標は「交付率」です。その交付率も、利用率も下げてしまった有料化は、制度の目的達成にとりマイナスでしかなかったのです。

加えて、老人医療費助成制度、高齢者の福祉給付金、国保75歳減免、要介護高齢者等福祉金など、数々の優れた施策が削られました。昨年度の新たな生活保護受給者の6割は高齢者です。高齢者にこそ暖かい支援が必要です。54億円もの高齢者への負担増は、到底容認できません。

子育ての負担重く市民に不安

反対の第2は、シフトしたはずの子育て分野でも、負担は重く、不安は解消されていないことです。低所得世帯であるB階層の保育料が有料化されました。学童保育では、不十分ながらやっと午後6時までの助成が始まりましたが、それでも保護者の負担は、昨年より増え月に約1万8千円です。この金額は依然として、政令市では一番重い負担です。

30人学級はようやく全市の小学校1年生に広がりましたが、子どもたちの教育環境を支える小中学校の標準運営費、および光熱水費は4年連続の削減です。これではとても「子育てに予算をシフトした」とは言えません。

病気や失業で生活保護を受ける世帯は、ついに2万世帯を超えました。ところが、こんな時に本市では、貧困や疾病を予防する施策、介護や国保の負担軽減制度や医療や健診の無料制度が削られたのです。

市長は「真に福祉を必要とする人は義務的に助けるが、それ以外は、相互扶助または受益者負担で」と言いましたが、これでは、貧困や疾病、要介護に陥る人たちをかえって増大させ、結果的に市の負担も増えてしまいます。

憲法25条を踏まえ、市民の生存権を守る施策にこそ予算をシフトすべきです。

フジチクの疑惑にまみれている

反対理由の第3は、疑惑にまみれた不透明な予算執行がされたことです。

食肉疑惑をわが党は何度も議会で取り上げてきましたが、「愛食」から「名食」への59億円もの営業権譲渡価格の算出根拠は、依然としてあいまいです。決算審議では、この譲渡に伴う名食や「名古屋食肉公社」への不明朗な補助金の存在が浮かび上がりました。名食が扱うようになった食肉の保管のために、食肉公社がわざわざ愛食から年間2億3千万円で冷蔵庫を借りる、そのために市が公社に1億9千万円もの補助金を出す仕組みがつくられました。南部市場への移転まで、6年間に10億円以上の資金が、愛食に流れるのです。

数々の不正に関わったフジチクグループ・愛食に、ここまで市民の税金を支出するのは断じて許せません。しかもその冷蔵庫に保管されていたのは、脱税で摘発されたあの輸入豚肉です。こんな補助金の支出は即刻やめるべきです。

超高層ビルへの補助など大企業優遇

第4の反対理由は、あいかわらず大型開発・大企業優先に、税金のムダ遣いが続いています。

ムダと浪費の象徴となった徳山ダムへの支出、トヨタなど大企業の建てる超高層ビルへの補助、破綻が必至の「なごやサイエンスパーク」、環境を悪化させ住民合意のないまま建設される都市高速道路、一方で大型店の進出はまったくの野放しです。大企業優先・市民不在で、まちこわしをすすめる税金の使い方は認めることができません。