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2009年8月28日発行

8月28日 土木交通委員会 わしの惠子議員

『交通事業の経営健全化 提言』
財政健全化法でまたも給料に大ナタ
「現業職員の生涯賃金20%減」に一本化

当日の土木交通委員会では、名古屋市交通事業経営健全化検討委員会の『名古屋市交通事業の経営健全化方策について提言』(7月23日発表)が質疑されました。

この間の「経営改革」で単年度黒字に

06年3月に策定した経営改革計画による取り組みで、市バスは2006年度に、地下鉄は2008年度に経常収支黒字になりました。乗車券制度の改善などで乗車人員は増加傾向にあります。経常支出では、人件費を2006年度の全国最大規模の給与カットや2007年度大森営業所の管理委託(名鉄)による定数削減で38億円も縮減(2005年度比)。旧那古野営業所の用地売却等を行ってきました。

財政健全化法に基づく健全化計画

しかし、財政健全化法が本年4月から施行され、名古屋市は単年度黒字化だけでなく資金不足を縮減するさらなる「経営健全化」を迫られています。市バス事業は資金不足比率が55%あり経営健全化基準(資金不足比率20%)を上回るため、経営健全化計画(期間は2009年度〜2016年度)を策定しなければなりません。市バス事業では累積資金不足が今後156億円悪化し、2016年度には261億円になり、「健全化」には223億円の縮減が必要としています。今後、交通局は『提言』を踏まえた計画策定に取り組みます。

生涯賃金20%減で4000万円の減

『提言』は「民間と遜色のないコスト体質」実現を言います。わしの議員への答弁で、「東海(民営)の水準を目指す」ことがわかり、これだと職員1人当たり人件費を200万円以上下げることになります(下表)。

支出抑制の方策では、「人件費の効率化」をかかげています。現在、07年度以降に正規採用された現業職員は、生涯賃金20%減の給与制度が適用されています。また、それ以外の現業職員も8%の給与カットが行われています。『提言』はこうした2種類の給与制度を生涯賃金20%減の制度に統一することを打ち出しました。同議員への答弁で「生涯賃金20%カットで、4000万円の違い」になることもわかりました。

同議員は、「年金にまで影響する人件費の値下げ競争はやめて、新たな一般会計補助の要望を」と主張しました。

他党からも「給与減は安全性も下がる危険がある」「かなりきつい計画だ」との指摘がされました。

市バス事業の他都市公営、民営との人件費コストの比較(2007年度)

項目 名古屋 東京 横浜 京都 大阪 神戸 東海
(民営)
京浜
(民営)
京阪神
(民営)
職員1人当たり
平均人件費(千円)
6,727 7,224 8,129 7,354 8,231 8,352 4,649 5,843 5,566
運転キロあたり
人件費・経費(円/km)
558 702 686 660 762 679 301 576 453

○上段:職員1人当たり平均人件費は、他5都市平均=7,858千円に対し名古屋は6,727千円で14.4%低い
○下段:運転キロ当たり人件費・経費は、他5都市平均=698円/kmに対し名古屋は558円/kmで20.1%低い
○他都市公営との比較では、名古屋市がいずれも最も低い。民営との比較では、運転キロ当たり人件費においては京浜(民営)を下回り「ほぼ民営と遜色ない水準」である。しかし、交通局は「東海(民営)」レベルへさらに引き下げる考えを表明した。