日本共産党名古屋市議会議員団Webサイト
2009年7月7日発行

6月定例会・財政福祉委員会(6月30日〜7月6日)
江上博之議員

市民税10%減税に関する基本方針条例(案)
庶民減税実現、市長選での
市民の期待に応えた施策を求める

「減税で行政改革」の具体的内容は「未定」

副市長も認める「行財政改革」の実績・・・

図書館や文化小劇場などの駐車場有料化。保育料や高校授業料、国保料などの値上げ。火葬料の有料化。保育園の民営化 など

6月議会に提案された「減税基本方針条例」について財政福祉委員会で審議が行われました。条例の内容は右記の通り「来年度から10%減税する」ことだけを決めるものです。

江上博之議員は「市長選での市民の願いは福祉・医療の充実、雇用、景気対策。減税はそれに合った形か」「対象者は誰か」「基本条例ならなぜ非課税者への対策を除外するのか」「金持ち減税はゼロというマニフェストの内容がなぜ示されない」「行財政改革というが、福祉・暮らしの予算がバッサリ削られたこれまでの実態を見ると不安だ」など、市民からだされた疑問をただしました。詳しいことは検討中という答弁が繰り返され、プロジェクトチームの責任者である住田副市長の出席を求めての審議となりました。

副市長も「市長の強い思い」と語るだけ

副市長へも「高額所得者や大企業をどうするのか、庶民とはどれくらいの所得の人か、一番期待しているのは非課税者だがなぜ対策を出さないのか、行革の内容は具体的には何か」など具体的な質問がされましたが、「11月議会に詳細を示した本条例を出す」と答え、それ以外は「検討中なので資料も用意できない。減税を通じて行財政改革をするという初めての取り組みだから課題が多い」といって、結局「市長の強い要求が今回の提案になった」ことだけがはっきりしました。

低所得者はかやの外、大企業や金持ち除外は明記せず

質疑では「納税義務者は110万人。非課税は40万人。法人数は88,000社で53,000社は赤字。対象は納税者だけ。企業誘致で企業が期待するのは、顧客や人材の確保のしやすさ、物流や交通などで税制支援は相対的に低い」などが示されました。

他の委員からも「減税する金があるなら、福祉の充実が先」「将来を見据えて借金返済に充てるべき」などの意見が出され、民主党からも「取り下げて、最初から話し合ったほうがいい」という意見も出され、採決の結果、「継続審査」となりました。

「減税基本方針条例」の概要

目的 現下の経済状況に対応し、市民生活の支援及び地域経済の活性化を図るとともに、将来の地域経済の発展に資するため
規模 市民税収入額のおおむね100分の10
財源 事務事業の見直しその他の徹底した行財政改革の推進による歳出削減と、歳入確保に最大限努める
実施時期 個人・法人とも平成22年度分から

「一人15,000円の減税」というけれど

◆非課税の方40万人の減税額0円
◆均等割のみの方4万人の減税額 300円
◆所得2000万円超の8000人の減税額 平均25万円
◆大企業には減税額が1億円、2億円の企業も
(市民税の一律10%減税で試算。1人平均で15,000円)

 

所得階層別納税義務者数(%)と平均減税額(2007年度・10%で試算)

税率適用区分別法人数法人性額 上位10社だけで14%

 

法人税の減税見込み額
2007年度分を10%減税した試算

A社 2億 770万円
B社 1億9490万円
C社 1億6770万円
D社 1億5750万円
E社 1億2290万円

*零細企業は赤字決算が多く、大半の事業所の減税額は均等割の10%の5000円