日本共産党名古屋市議会議員団Webサイト
2008年4月2日発行

本会議・2008年度一般会計予算案に対する反対討論
3月19日 江上博之議員

暮らし無視の負担増と大型事業優先の予算に反対

江上議員が行った反対討論の要旨を紹介します。

若者を中心に非正規雇用が労働者全体の三分の一以上になり、年収が200万円以下という人も増えています。今、名古屋市政には、このような市民の状態を踏まえ、国の悪政に抗して市民に寄り添い、貧困をなくし、格差を是正することが求められています。

ところが、松原市長は「家計部門は緩やかに改善し、物価は安定」「雇用情勢の改善」という認識で予算編成し、市長提案説明には「貧困」「格差」という表現すら出てきません。

市予算が豊かであることを示さなければ「4大プロジェクト」などを進めることができず、また、広小路ルネサンスのように2010年完成のために、市民合意もなく進めようとする市長の責任が問われています。予算案には次の5つの理由で反対です。

1、貧困、格差を広げる負担増

後期高齢者医療制度にともない75歳以上の方の保険料減免をやめ、その継続を求める市民の声を拒否しました。80歳の敬老祝い品の廃止や市税減免制度の改悪で65歳以上をはずすなど高齢者いじめをいっそう進めています。国民健康保険料を値上げし国保会計への健診費や葬祭費・出産一時金、未納分などの一般会計からの繰り出しを30億円も削減しています。

子育て支援では医療費の無料化拡大の一方で保育料の値上げ。まちのお店屋さんを応援するどころか食品営業許可申請手数料の値上げなど、負担増が目白押しです。

2、暫定税率廃止と一般財源化を拒否

市は道路特定財源の暫定税率がなくなれば200億円の歳入不足で、こんなに道路が出来なくなると宣伝し、市民の暫定税率廃止の要望を拒否しています。市民の声にこたえて必要な道路について改めて検討し、10年間で59兆円を使う道路整備中期計画の撤回とともに自治体の必要な道路には財源を国に求めていくことです。こうすれば暫定税率を廃止しても必要な道路事業は可能です。

3、不要不急の大型事業推進

名古屋城本丸御殿の再建や「モノづくり文化交流拠点」づくりを進め、クオリティライフ21城北において、多くの市民が使えない健康保険適用外の陽子線がん治療施設に20年で270億円も投入して建設することです。水需要のない徳山ダムの建設だけでなく導水路や中部新空港の第2滑走路も進めていることです。

大企業優遇で高層ビル建設に補助金を支出するばかりか、ミッドランドスクゥエアの例では二酸化炭素排出量を総量で建設前の1.5倍に増加させ、地球環境保全という点からも高層ビル建設は問題です。

4、市債を見えなくする手法

PFI手法による守山スポーツセンター建設や陽子線がん治療施設の債務負担行為は市債残高を少なく見せるので問題です。

5、食肉公社に不明朗な補助金支出

市食肉公社がフジチクグループの中核企業「愛食」から冷蔵庫は借りる理由も不明確で、市からの補助金は「愛食」の県に対する借金返済にあてられるだけです。

3つの柱で予算を組み替えを

日本共産党市議団は、三つの柱からなる予算組み替え案を提案しています。第1に「市民への負担増は中止し、子どもも高齢者も応援」、第2に「不要不急の大型プロジェクトのムダを削る」、第3に「不明朗な補助金支出をやめ、議会経費を見直す」です。これによって、敬老祝い金等の支給の継続や後期高齢者医療制度が実施されても所得が少ない高齢者の保険料無料制度の維持、また、保育料など公共料金値上げの中止、学童保育の運営費補助の増額は可能です。名古屋市は、国の悪政に対し市民の福祉増進に全力を尽くすべきです。