2003年6月議会 本会議

一般会計補正予算 反対討論

個人情報保護なおざりの住基ネットは中止を

 

【さとう典生議員】
 私はただいま議題となっております平成15年度一般会計補正予算に反対する立場から日本共産党名古屋市議団を代表して討論を行います。

 補正予算では住民基本台帳ネットワークの二次稼動に関連していわゆる「住基カード」ICカードを発行するための経費が計上されました。
 「住基カード」によって「全国どこの市町村からでも住民票を取得できる」と宣伝されています。
 しかし市民にとって、もともとそのような機会はあまりない上に、免許証などがあれば住基カードがなくても可能です。市民にとって「住基カード」を所有するメリットがないということです。しかも当局でさえ、交付希望者を2%しか見込めないのであります。
 その上、カード発行にかかる経費と手数料との差額は一般財源で負担することになり、問題であります。
 また、「住基ネット」そのものが自治体に大きな負担を強いるものであります。本市ではこれまでに約2億2千万円使い、維持管理に毎年1億円が必要になります。
 このように「住基ネット」と「住基カード」の発行は市民が求めていないのにもかかわらず、多大な財政支出を強いるものとなっており、認めることができません。

 次に、名古屋では庁内のネットワークに住基ネットを接続しました。その結果、インターネットともつながることになりました。政令市の中では本市だけであり、情報漏洩の危険性がたいへん高くなっています。
 当局はファィアーウォールによりアクセスを制限するといっていますが、コンピューターネットにおいて外部から侵入された例は数多くあり、絶対安全とは言い切れません。 こんな危険な状態からは直ちに離脱すべきです。
 さらに深刻なのは「住基カード」の多目的利用であります。カードのメモリーが「余っているからついでに他の利用を」という発想のようですが、これまた個人情報漏洩の危険をさらに大きくするものです。住民票の情報のほかに個人情報まで付け加えてしまっては、もし漏洩した場合に被害の範囲がよけい広がります。多目的利用はやめるべきです。
 問題の根本は「国による個人情報の集積と管理」「個人情報が大量に漏洩する危険性が高いこと」すなわちプライバシーが侵害されるという点と自治体に無用な負担を強いる点にあります。

 以上のような理由で「住基ネット」と「住基カード」は止めるべきであります。
 みなさまの賛同をもとめ反対討論を終わります。