2010年2月定例会  2010年度名古屋市予算案に対する組替動議(3月24日)
田口かずと議員

大金持ち・大企業減税を改め、市民の暮らしに予算配分を、国保料1万円値下げ、中学校卒業まで医療費無料を


田口議員

大企業・大金持ち減税を見直し

【田口議員】
私は、日本共産党名古屋市会議員団を代表して、平成22年度名古屋市一般会計予算の組み替えを求める動議についてご説明申し上げます。

市長の予算案は、「減税」を引き金に市民サービスの削減、福祉の民間化・民営化を進めるものとなっていることから、以下の方向での抜本的な組み替えを提案します。

市民サービスの削減をやめる

第1は、“大企業・大金持ち減税”を見直し、「行財政改革」の名による市民サービスの削減をやめることです。

減税は個人市民税に限り、かつ高額所得者を除外し、低所得者の減税額を増額する、文字通りの“庶民減税”に見直します。これによって、減税による税収減少分を70億円圧縮することができます。

自動車図書館を復活させ、2段階保育料の導入をやめ、第3子以降の3歳未満児の保育料無料制度を継続します。学童保育への助成基準額の引き下げをやめ、子ども会キャンプセンター中津川キャンプ場や大気汚染常時監視測定局を維持するなど、市民サービスを後退させません。

福祉・教育・子育て重視の予算に

第2は、経済危機から市民の暮らしを守り、福祉・教育・子育て重視の予算に転換することです。

減税の見直しと不要不急の事業の中止・見直しによって生み出した財源を、市民の暮らし・福祉の分野に振り向けます。失業者にたいするヘルパー資格取得のための講座受講料の助成、町工場の家賃、機械のリース代など固定費に対する助成制度の創設など、雇用と営業の安定、地域経済の活性化を図る新たな施策を実施します。中学卒業までの通院医療費無料化、国民健康保険料の一人1万円の引き下げなど、施策の拡充を図ります。


田口議員

不要不急の大型事業等は中止・見直し

第3は、不要不急の大型事業等は中止・見直し、財政の健全化を図ることです。

名古屋城の天守閣木造復元のための調査、本丸御殿の復元工事、「ものづくり文化交流拠点」など、不要不急の大型事業のムダと浪費にメスを入れ、借金である市債の発行額も大幅に抑えます。

地域委員会のモデル事業については、新たな地域での実施分の予算は削減し、「まるはち総がかり住んでちょう!ナゴヤ大作戦」、郷土学習「なごや科」や「武将都市ナゴヤ」など、市長の特異な政治観・歴史観にもとづく事業は中止します。

予算を組み替えて再提出を求める

以上の方向で、市長にたいして一般会計予算案を速やかに組み替え、再提出されることを求めて、説明を終わります。

組み替え動議について

平成22年第1号議案「名古屋市一般会計予算」について、市長は、別紙要綱により速やかに組み替えを行い、再提出することを要求する。

平成22年3月24日

(別紙)

1 組み替えを求める理由

市民の暮らしはいま、底なしの悪化を続けている。仕事と住まいを失う非正規労働者が後を絶たず、中小企業・業者の倒産・廃業が増加している。この経済危機から市民の暮らしを守ることは、名古屋市政の最優先の課題である。
ところが、河村市長が初めて編成した平成22年度名古屋市一般会計予算は、市民税10%減税の実施で大企業や富裕層に減税の大盤振る舞いをする一方で、減税によって大幅な税収減をつくり出し、「聖域なき行財政改革」の名のもとに福祉・市民サービスの削減を進める「構造改革」予算となっている。削減される市民サービスは、自動車図書館の廃止、保育料の値上げ・第3子以降(3歳未満児)の有料化、学童保育助成の基準額引き下げ、市立保育園の廃止・民営化、市立城西病院の廃止、大気汚染常時監視測定局の縮小など、市民生活の各分野に及ぶ。市長の公約でもある中学卒業までの通院医療費無料化は盛り込まれておらず、現下の深刻な経済危機から市民の暮らしと福祉を守るものとはなっていない。
その一方で、名古屋城天守閣の木造再建の調査費が新たに盛り込まれるとともに、前市長時代からの「4大プロジェクト」は推進されるなど、ムダと浪費は温存され続けている。
そこで、市民の切実な要求を実現するために、次の組み替えの基本方針及び内容により、平成22年度名古屋市一般会計予算の再提出を要求する。

2 組み替えの基本方針

(1)“大企業・大金持ち減税”を見直し、「行財政改革」の名による市民サービスの削減をやめる。
(2)経済危機から市民の暮らしを守り、福祉・教育・子育て重視の予算に転換する。
(3)不要不急の大型事業等は中止・見直し、市財政の健全化を図る。

3 組み替えの内容

(1)市民税減税の内容を見直し、税収減少分を大幅に圧縮する。
ア)市民税減税については、法人市民税の減税は行わず、個人市民税は所得割を課税総所得376万円(年収800万円夫婦、子ども2人)以下の者のみ10%相当額を税額から控除し、均等割を年額100円とする。

(2)市民税減税の財源確保を名目とする以下の事業の廃止・見直しを中止する。
ア)税務事務の集約化
イ)桜山通勤寮運営助成
ウ)私立学校等における結核健康診断補助
エ)留守家庭児童健全育成事業助成の市上乗せ分
オ)民間保育所運営費等補給金(障害児保育)
カ)民間保育所の事業費補助(園児寄生虫卵検査、保育所地域活動)
キ)大気汚染常時監視測定局
ク)ダイオキシン分析研究センター
ケ)交通指導員の勤務条件の変更
コ)子ども会キャンプセンター中津川キャンプ場
サ)私立高等学校授業料補助
シ)私立幼稚園授業料補助
ス)自動車図書館

(3)不要不急の大型公共事業及び市長の特異な政治観・歴史観に基づく事業等、以下の事業を中止・見直し、新たな財源を生み出す。
ア)モノづくり文化交流拠点の基盤整備等
イ)中部国際空港建設促進期成同盟会への負担金支出
ウ)陽子線がん治療施設の整備
エ)工業用水道会計への地盤沈下対策出資金の支出
オ)名古屋城本丸御殿の復元工事及び復元過程の公開、復元推進イベントの実施
カ)名古屋城整備課題調査のうち天守閣木造復元のための課題調査
キ)国直轄道路事業負担金の支出
ク)都市計画道路池内猪高線の道路改良
ケ)江川線始め有料道路支援街路の道路改良
コ)都市高速道路建設に係る名古屋高速道路公社への出資金・貸付金の支出
サ)大井町1番南地区市街地再開発事業
シ)名駅四丁目4番南地区優良建築物等整備事業
ス)特別職の市長秘書の設置、
セ)地域委員会のモデル事業
ソ)まるはち総がかり住んでちょう!ナゴヤ大作戦
タ)市民税減税に伴う広報
チ)放課後子どもプランモデル事業
ツ)公立保育所の民間移管準備
テ)「日本一おいしい空気のまち・なごや」に向けた調査
ト)ダイオキシン分析センターの撤去
ナ)住民基本台帳ネットワークシステムの運用
ニ)税務事務の集約化に伴う区役所窓口等の整備
ヌ)名古屋食肉公社への貸付金の支出
ノ)「武将都市ナゴヤ」の発信
ハ)国民保護業務
ヒ)なごや教師養成塾の運営
フ)郷土学習「なごや科」の推進
ヘ)市会議員の任期中1回の海外視察

(4)市民の暮らし・福祉の充実のために、以下のように新たな事業の実施及び施策の拡充を図る。
ア)福祉・介護人材確保事業における講座受講料助成の創設
イ)後期高齢者医療保険料助成の創設
ウ)国民健康保険料の引き下げ(1人年間1万円)
エ)子ども医療費助成制度における通院医療費の中学3年生までの対象拡大
オ)特定呼吸器疾患医療費助成の復活
カ)ふるさと雇用再生特別基金を活用した一時金支給制度の実施
キ)町工場の家賃、機械のリース代等固定費に対する助成制度の創設
ク)民間木造住宅の耐震改修助成の拡充
ケ)住宅リフォーム助成制度の創設
コ)就学援助の所得制限の緩和
サ)小学校3年生までの30人学級の拡大

 

▲このページの先頭へ戻る