2010年2月定例会  個人質問(3月8日)
さとう典生議員

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児童福祉センターの跡地利用について


さとう議員

売却は地元の意思に反する

【さとう議員】
はじめは昭和区にあります、名古屋市児童福祉センターの跡地利用についてです。児童福祉センターは5月に区内の折戸町に移転します。移転後に残る土地の利用について、所管の子ども青少年局は昨年末、委員会で「跡地の一部はコミュニティセンターと消防団詰め所用地として提供し、他は老人福祉施設(老健・特養)の建設を条件に売却する」という方針を説明しました。予算案では不動産売却収入のリストのなかに入っています。

跡地利用について、地元ではこれまで中央児童館に併設されていた「児童公園を残して」という声が拡がり、昨年7月に16000筆を超える要望署名が河村市長宛に提出されました。その後、市民団体は跡地利用について、子育てに係わる団体や専門家の意見を聞こうとワークショップを開く準備をすすめ、緑政土木局にも公園として整備してほしいと申入れたりしています。

1月に開かれた、昭和区のタウンミーティングの会場でも、河村市長に区民と地元町内会長から「公園を残して」という要望がありました。ところが、河村市長は同席した市幹部に答弁を振り、幹部は「新しい施設を作ったら跡地は売却が原則」と答えました。

市民は市長に「これまでの方針を変更して欲しい」と要請したのに、行政当局に答えさせたため、これまでの方針どおりの返答でありました。

いま地元では「河村市長の減税の穴埋めのために売られてしまう」と憤りの声が拡がっています。敷地面積は約20,000平方メートル、6,000坪です。これだけのまとまった土地は本市が二度と入手できない市民の財産であり、売り払いは止めるべきだと考えます。また、この土地はこれまで子どもたちや子育てのための拠点施設として使ってきました。その経過をふまえて跡地利用を考えていくべきであります。

そこで、改めて、河村市長に、地元や市民の願いに応えて、売却方針を撤回し、跡地利用について地元や市民と話し合うことを求めます。

民間での有効活用で市税収入につながる(市長)

【市長】
児童福祉センターの移転後跡地は、地元からの要望等を踏まえ、全庁的な利用調整を行い、コミュニティセンターと消防団詰所及び防火水槽の整備用地として利用することとし、残りの土地は、民間による特別養護老人ホーム及び老人保健施設の整備ができるような条件を付して売却することにした。民間での新たな有効活用が図られるものと考え、民間の力を活かすことにより、市税収入の確保につながるなど波及効果も期待できる。これも一つの市民のための財産利用だ。

児童福祉センター跡地(意見)

【さとう議員】
市長にしては珍しく、紋切形、棒読み答弁でした。

地元から要望という答弁でしたが、地元からは、コミュニティセンター建設の要望がなされたのみ。その際に、当局は売りたい、売りやすくするために、老人福祉施設として売るんなら、ということになっていると思います。いまだに地元の町内会長や地元の市民団体のみなさん残してほしいといっているのです。その願いに背を向けた。地元の要望と言いながら地元の市民の願いに背を向けるものだ。拙速に売却するのではなく。売却方針をいったん撤回し、時間をかけて話し合うことを強く要望する。地元はまだあきらめない。今後も追及します。

文化振興施策について
南部市場について

これまでのいきさつ

【さとう議員】
南部市場は名古屋市の中央卸売市場の食肉部門として3年前にオープンしました。その南部市場の中で中心的な役割を果たしている、本市の外郭団体の名古屋食肉市場株式会社と財団法人名古屋食肉公社について、包括外部監査が行われ、先月はじめに報告書が公表されました。

これまで、私ども日本共産党市議団は、食肉市場移転を巡る数々の疑惑について、その都度追求してきました。今回の報告書の中で、その指摘を裏付ける事実が明らかになりました。改めて、この問題を巡る本市の姿勢について質問します。

まず、これまでの経過と問題点を整理しておきます。食肉市場が南部市場に移転する前は、名古屋市は中央卸売市場として高畑に食肉市場を開設していました。そして、外郭団体として名古屋食肉市場株式会社(名食)が卸売を担当し、財団法人名古屋食肉公社(食肉公社)がと畜と冷蔵保管を行っていました。

これとは別に、民間の地方市場として熱田区に愛知食肉卸売市場協同組合(愛食)が愛知食肉市場を開設して、卸売りを行っていました。この、愛食というのは、同和利権で指弾された部落解放同盟の役員を務めていた、藤村芳治氏の経営するフジチクグループの中核企業でした。高畑市場の移転を機に、この二つの市場を統合するという計画がことの発端となりました。移転統合に伴って、中央卸売市場に残る「名食」が「愛食」から営業権を買収することになりました。ちょうど、法律改正の後押しもあり、市場を一本化して、経営規模を拡大するということでした。

そして、愛食は営業権を手放すものの、冷蔵庫と建物を所有し、賃貸業務を続けることになったのです。後から出てきますが、これが一つのポイントです。営業権の金額は59億2000万円と決められました。日本共産党市議団は平成16年にこの金額をめぐって、根拠に不明瞭な点があると指摘し、本会議等でこの問題の情報公開を求めてきたが、当局は拒否して一切明らかしてきませんでした。

一方、名食が営業権を取得してからの事態も疑惑に満ちたものになりました。不思議なことに、「名食」の社長に営業権を売り渡した相手方の「愛食」の理事長だった藤村勲氏が就任しました。また、移転統合までの間、「名食」が「愛食」の社員や事務所を引き継ぎ、地方市場を経営することになりました。そうしたら、今度はその事務所の家賃を不動産賃貸業の愛食に払うこととなったのです。名食だけでなく、「食肉公社」が「愛食」所有の冷蔵庫を借り上げる仕組みも作られ、毎年、多額の賃料を払うことになりました。その際に15億円の保証金が差し入れられていたことが今回判明しました。

このように、食肉市場の移転統合を機に「名食」と「食肉公社」から家賃などとして、「愛食」にお金が流れる仕組みができたわけです。これでは59億円で買収したのではなく、59億円取られて会社が乗っ取られたというのが実態ではなかったのか、と言えます。

これまで、いったいいくらのお金が愛食に支払われたのか。改めて調べてみました。 まず、名食からは営業譲渡の59億2000万円、新市場開設までの6年間の食肉公社が冷蔵庫などを借りた賃料が13億円以上、移転後に冷蔵庫を借りる約束で15億円の保証金と締めて87億円になります。このほか、名食が借りた事務所代があります。

これに対して、補助金などの形で税金が投入されています。その額は名食に対して、22億円。食肉公社に対して、11億円と、都合33億円になっています。そして、こんどの予算で5億円です。さらに、名食が借りた借金の残高19億3500万円の損失補償が残っています。

このように、食肉市場の南部市場への移転改築にともなって、フジチクグループの中核企業の愛食に多額の資金が流れ、また流される仕組みが作られました。これが名古屋の食肉疑惑であります。

名古屋食肉市場株式会社への営業権譲渡の再評価

【さとう議員】
こうした経過を前提に、具体的な質問にはいります。まず、名古屋食肉市場(名食)についてです。外部監査報告書では、移転に先立ち、平成13年に59億2000万円で「愛食」から営業権を譲り受けたことについて、「この評価の論理展開は当時検討委員会が取りまとめた計算式(評価方法A)とはかけ離れているだけでなく、採用した数値についても疑問を抱かざるを得ないものだった」と疑惑の存在を示唆しています。ただ、資料が入手できなかったので、「営業権の価額が高額なのではないかという印象があるものの、明確な根拠を持ってどの程度まで過大に評価されたのかを明らかにすることはできなかった」とのことです。具体的な金額は指摘はできないけれども、高額だったと疑惑の存在をうかがわせる記述です。

報告書では、以上のような指摘をしつつも、「名食」の経営問題について、この59億2000万円を全額、東海銀行(当時)(30億円)と農林漁業金融公庫(29億2000万円)から借り入れて愛食に支払ったため、借入金の利息負担が、経営を大きく圧迫する事態となっていると判断して、損失補償契約をしている名古屋市当局が必要な措置を取るように求めています。後始末のために、税金投入が必要となってきているということです。

しかし、これまでの本市の対応や責任を不問にしたままではすまされない、と考えます。そこで、河村市長に以下の数点の処置を求めるものです。まず、営業譲渡、59億円の根拠と枠組みの是非を再評価することについてお聞きします。

これ以上の調査は困難(市長)

【市長】
今回の包括外部監査は、複数の弁護士や公認会計士といった専門家により、現地調査を含め関係書類の審査や関係人からの聴取など徹底的に監査された。これ以上の調査は困難ではないかと考えております。

営業権の価額は、食肉流通に精通した公認会計士や経営の専門家により算定された評価額をもとに当事者双方の経営判断により合意されたもので、妥当なものであったと聞く。

食肉卸売市場整備問題検討委員会の議事録公開を

【さとう議員】
譲渡金額を決定する課程で開かれた検討委員会の議事録を公表することを求めます。

前向きに取り組む(市長)

【市長】
食肉卸売・市場整備問題検討委員会の議事録の公開については、今回の包括外部監査の結果が報告されたこともふまえ、前向きに取り組みます。

市の責任を明らかにせよ

【さとう議員】
税金投入という事態に至った本市の責任の所在を明らかにすることについて市長の答弁を求めます。

営業権の価額は妥当なものであった(市長)

【市長】
営業権の価額は、食肉流通に精通した公認会計士や経営の専門家により算定された評価額をもとに当事者双方の経営判断により合意されたものであり、妥当なものであったと聞く。名古屋食肉市場株式会社の経営基盤強化のために平成13年度から7年間補助金を交付してきましたが、議会で審議し、適切に執行してきたと聞く。

名食の経営再建のため、市がリーダーシップを発揮するべきとのご意見に対して、具体的な取り組みを検討するよう指示した。

名古屋食肉公社での15億円の保証金の意思決定過程と責任は

【さとう議員】
「名古屋食肉公社」について、外部監査では、食肉公社が「愛食」から冷蔵倉庫を20年間にわたり72億円で借りる契約を結び、その保証金として愛食に、2001年に東海銀行(当時)から融資を受けて15億円を支払ったことは、「愛食への事実上の迂回融資だった疑いが強い」と厳しく指摘しました。

また、借入れの根拠や意思決定過程も不透明では「(公社)理事の法的責任の問題にもつながりかねない」とし、公社の経営状態から事実上返済が不可能になっていることへの対応についても「安易に名古屋市の負担で処理することは許されない」と厳しい警告を発しています。2年前に私はこの冷蔵庫借り上げ問題を2月定例会の本会議で質問し、経過に問題があると指摘し、契約を破棄するよう求めました。市当局はそのときこの保証金については一切ふれませんでしたが、今回外部監査によって明るみに出ました。

市当局は、この報告により指摘された問題を正面から受け止め、真実を明らかにし、責任ある対応をとらなければなりません。また、安易な税金投入は許されません。

そこで、15億円の保証金について、公社理事会での意志決定過程と責任を明らかにするべきです。

そのことは事前に説明がされていた(市長)

【市長】
予約契約をした当時の財団法人名古屋食肉公社理事会の議事録等をオープンにするよう指示していく。食肉卸売市場整備問題検討委員会において、市場で必要とされる部分肉冷蔵庫は新市場には建設をせず、国・県の支援を受けて整備された愛知食肉卸売市場協同組合の冷蔵庫を活用することとされ、当時の公社の理事のほとんどは、先程の検討委員会の委員でもあり、他の理事にも事前に説明が行われていた。そうした状況のもとで、理事会において当該冷蔵庫を確保するため、予約契約締結の議決がなされたと聞いている。

当時の理事へ損害賠償請求せよ

【さとう議員】
外部評価で指摘された、当時の理事の責任に対し、刑事告発をおこない、損害賠償請求をすることを求めます。

理事の法的責任を追及することは困難(市長)

【市長】
当時の経常判断において、愛知食肉卸売市場協同組合が破たんするというリスクを予見することはできず、当時の財団法人名古屋食肉公社理事に対して責任を求めたり、告発することは困難である。公社の現在の顧問弁護士からも、予約契約した当時の理事の法的責任を追及することは困難と聞く。

来年度予算での5億円貸付は安易だ

【さとう議員】
来年度予算には食肉公社への5億円の貸付が計上されていますが、これこそ外部監査で指摘されている、安易な税金投入ではないのか。市民経済局長にお尋ねします。

円滑な業務運営に努めたい(局長)

【市民経済局長】
部分肉冷蔵庫全館を20年間賃借するという予約契約は、平成17年12月より大幅な見直し交渉を行うとともに、平成21年1月の愛食の民事再生手続きの開始決定を受け、借入金15億円の圧縮交渉にも着手してきた。

昨年6月から包括外部監査を受け、その過程で監査人からも、公社の債務についでは金融機関に応分の負担を求める方向で交渉を進めるべきという意見をいただき、市も公社と一体となって債務圧縮交渉に取り組んできた。

その結果、借入金15億円のうち12億円の免除を受ける目処がたち、公社の経営安定のため、借入金の返済にあたる3億円と運転資金2億円の計5億円を貸し付けることとした。

いずれにしても、公社はと畜解体業務を担っており、必要な支援を行うとともに、市場開設者として南部市場の円滑な業務運営に努めたい。

名古屋食肉市場株式会社と財団法人名古屋食肉公社の改革を

【さとう議員】
今回の包括外部監査報告の厳しい指摘は、独自の調査によって行ってきた我々の追求が、監査人による詳細な調査によって根拠あるものと裏付けられたものと言えます。この際、我々が指摘してきたことについての真実をすべて明らかにすることを求めます。

今後は、二度とこのような事態を許してはなりません。

河村市長は外郭団体の改革を表明し、強力に押し進めていますが、この二つの外郭団体についてどうするのかうかがいます。南部市場は外部監査でも指摘されていますが、名古屋市民への食肉提供にとって、重要な施設です。先日、食肉公社を視察した折りに、と畜解体現場にも入って見せてもらいました。生体の搬入から、と畜・解体、枝肉への加工と大変厳しい環境の中で職員の方たちは一生懸命働いていました。良好な食肉を提供するための技術水準の維持などの努力も積み重ねている、と聞きました。あたまの下がる思いです。

しかし、一方で、指摘したように食肉市場の移転を舞台にして、フジチクグループの企業が、本市の外郭団体から多額の資金を引き出していた事態が起きていたわけです。

こうしたことは二度と繰り返してはなりません。そこで、河村市長に、名食と食肉公社、二つの外郭団体について、まずは情報の公開と議会による監視の体制づくりが求められるが、どのように改革に取り組むのかお尋ねします。

経営健全化やコンプライアンスの徹底など、更なる改革を促したい(市長)

【市長】
名古屋食肉市場株式会社と名古屋食肉公社は、平成17年の輸入豚肉差額関税事件を受け、経営陣を刷新し、役員に外部の公認会計士を採用したほか、公社においては理事長を常勤化するなど、経営体制の強化を図ってきたと聞く。

南部市場が市民に開かれた市場として、より一層の信頼を得られるよう、今後とも両団体に対して、経営健全化やコンプライアンスの徹底など、更なる改革を促していきたい。併せて、今回、外郭団体経営検討委員会からも、名食については「経営の自立化」、公社については「あり方の検討」のご提言をいただいており、これらの課題についても検討を進めるよう指示をした。

両団体は、重要な役割を担っており、そこで働く人々や商いをされている方々が不安にならないよう、市場開設者として最大限の努力を傾けていく必要がある。

南部市場での利権構造を市長は認めるか(再質問)

【さとう議員】
ほんとに紋切型だ。市長の時代のことではないので分かりにくいかもしれないが、先ほど経過を説明した。いろいろあるが、これだけは確かめたい。結局は破綻したけれど、南部市場の移転にともなって、我が党が指摘したように、特定な企業・団体・グループにお金が流れる利権構造が作られたことが大事なポイントだ。利権構造がつくられたということを、市長が認めるのかどうか。

適切に行ってきた(市長)

【市長】
真摯に議論し、適切に行ってきたと思っとります。経営の健全化へコンプラアンスの徹底などさらなる改革を促したい。

百条調査委員会の設置を求める(意見)

【さとう議員】
全く指摘を認めないということだ。大変なことなんだ。市長が認めないと、適正にやってきたという行政側答弁をそのまま繰り返したが、今後も市の事業の中でこのような構造を作ることを容認する姿勢だ。大問題だ。撤回を求める。我が党はこのような癒着・利権構造は絶対に許さない立場で頑張っていく。その中で二度と起こさないように、情報の公開と説明責任を果たすようにすべきだ。情報公開で資料を取ったが、その中で名古屋市が主導してやっていることが見られる。委員会審議で、外部監査人を参考人として呼んでもらいたいと要請したが、日程的に難しいというようなことも聞いている。そこで、議長に自治法の百条調査委員会を設置して、南部市場移転に係わる数々の疑問を明らかにすることを要望する。

公社対策特別委員会での審査対象にするとともに、設置条例案を提出するので、ぜひ、多くの議員が提案に参加していただくようお願いして、質問を終わります。

 

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