名古屋港管理組合議会 決算に対する反対討論(3月26日)
山口清明議員

国際競争力の強化には役立っていない大水深バースに過剰投資、民営化でコストアップに


山口議員

平成20年度(2008年度)の一般会計歳入歳出決算及び施設運営事業会計決算について、認定に反対の立場から討論を行います。

過剰な投資にもかかわらず競争力が低下

まず一般会計です。

飛島ふ頭南側コンテナターミナルの第2バースが12月から供用開始となり、水深16mの大水深バースが二つ揃いました。整備費はこの年までに717億円、本組合の負担はそのうち261億円の巨額にのぼります。この超大型公共事業は、本港の港勢の発展にどれだけ役立ったのでしょうか。実際に16mの水深を必要とした船舶の入港は、飛島ふ頭南側コンテナターミナルに着岸した278隻中71隻だけでした。

しかも本港の世界主要港におけるコンテナ取扱数の順位は、大水深バースの整備中に、2006年度34位から、07年度は36位、08年度はついに41位と3年間に7位も下がりました。同時期に東京港は3位、横浜港は1位しか順位は下がっていません。本港の国際競争力の強化には役立っていないのが現実です。大水深バースは二つも要りません。名古屋港にとってアジア航路が発展の中核になりつつあるのに、北米欧州の基幹航路にこだわった過剰な公共事業を認めることはできません。

ひき船事業の民営化が入港コストのアップに

次に、施設運営事業会計です。

この年、直営のひき船事業が廃止され、最後の金城丸も4億7500万円余で売却され、名古屋港のひき船業務は、民間企業5社に任されることになりました。

その結果、何が起きたのでしょうか。料金が約1割いっせいに値上げされたのです。燃料代の高騰が要因と説明されましたが、原油価格が落ち着いても料金は元に戻らず、港のユーザーへの値上げだけが残りました。名古屋港では、この年のリーマンショックに端を発した大不況に対応すべく、航路維持のために入港料の引き下げなどの緊急措置をとりました。港勢維持のために、入港料を引き下げながら、一方で、ひき船料金の値上げです。管理組合だけのコスト削減を優先させたひき船事業の民営化は、結果的に入港コストのアップを招いたのです。

このように民営化を進めることは、利用コストの設定など、管理組合が必要な政策を実行することを困難にします。景気動向が不透明な時期だからこそ、管理組合がコントロールできる政策手段は握って離さないことが大事です。

民営化は万能ではありません。まちがった民営化を進めた決算は認定できません。以上、2つの理由を申し上げまして、決算の反対討論を終わります。

2010年3月定例会議案審査結果(○は賛成 ×は反対)

議案名 議案名
平成22年度名古屋港管理組合一般会計予算(355億6千万円) 指定管理者の指定(名古屋港ポートビル及びガーデンふ頭臨港緑園を港振興財団に)
平成22年度名古屋港管理組合基金特別会計予算 指定管理者(名古屋港水族館を港振興財団に)
平成22年度名古屋港管理組合施設運営事業会計予算(上屋40棟、貯木場8、荷役機械10基) 平成21年度名古屋港管理組合一般会計補正予算
平成22年度名古屋港管理組合埋立事業会計予算 平成21年度名古屋港管理組合施設運営事業会計補正予算
職員定数条例の一部改正 特別職の職員の給与等に関する条例の一部改正
名古屋港管理組合港湾整備事業の設置等に関する条例の一部改正 給与条例の一部改正
指定管理者(名古屋港湾会館を振興財団に) 職員の退職手当に関する条例の一部改正
指定管理者の指定(新舞子マリンパーク、南浜緑地及び北浜緑地を株式会社日誠に) 工事請負契約の締結(鍋田ふ頭進入道路3号橋(仮称)上部築造工事。18億2280万円)
指定管理者の指定(金城ふ頭中央緑地始め7緑地を緑地保全協会に) 事業契約の変更(本庁舎PFI(株)に1億5400万円余増の88億5300万円余に変更)
指定管理者の指定(富浜緑地(名古屋港ゴルフ倶楽部(富浜コース)等を除く。)始め8緑地をホーメックス株式会社に) 物品の買入れ(シャチ「ナミ」太地町立くじらの博物館より5億円。体長560cm、体重2700kg)
指定管理者の指定(名古屋港ゴルフ倶楽部(富浜コース)等を緑地保全協会に)  

 

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