2009年6月定例会 個人質問 くれまつ順子議員(6月25日)

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子どもの貧困とひとり親家庭への支援について


かとう議員

働いても貧困なひとり親家庭へ支援を

【くれまつ議員】
不況の中、親の低収入がこどもたちにさまざまな影響を与えています。名古屋市は5年ごとにひとり親家庭の生活実態調査を行っており、20年度の調査報告では、母子家庭が約25000、父子家庭が3900世帯あり、母子・父子あわせて、全世帯の約3%がひとり親の家庭です。平均収入は母子家庭が227万円、父子家庭は482万円で、一般家庭の567万円に対して、母子家庭は40%という低収入です。

市の調査では、母子家庭の母親の87%が仕事についていることが明らかになっています。そして、過半数がパートタイムや派遣など、不安定・低賃金で働いているのです。こうした母子家庭の子どもたちの貧困が社会問題になっています。

国際的にみると、日本のひとり親家庭の就労率はOECD24カ国の中で4番目と高いのに、子どもの貧困率もまた、2番目と高いのです。日本の母子家庭の母親は、8割が働いているけれど、一般家庭の4割しか収入がない、「ワーキングプア」なのです。

今回の補正予算で、ひとり親家庭への資格取得支援が拡充されました。より安定的な仕事に就くという点では、一定評価できるものですが、これは働くまでの支援です。私は、現在、働いても一般家庭の4割ぐらいしか収入が得られない貧困なひとり親家庭に対しては、子どもが健やかに育つ環境をつくっていくために、継続的な経済支援が必要でだと思います。

そこで、市長に伺います。働いているのに貧困なひとり親家庭について、どのような認識をおもちですか、そして、こうしたひとり親家庭に対しては、手当ての拡充などの継続的な経済支援が必要ではないかと考えますが、いかがですか。

総合的な支援の充実に努める(市長)

【市長】
NHKでようテレビを見さしていただいて、お母ちゃんが必死に働いてパートをダブルでやったりしながら頑張っておられる姿を見るにつけ、何とか応援せないかんというのは私も強く思っていますし、骨太の方針で財政危機だととんでもないことを言って2200億円づつ伸びを切ったというのはあれは間違いだとおもいます。最近は就労支援に移っているということで、それがいいかどうか知りませんが、国のほうでもお金を100/100出して、家庭でレポートなんか作ったりすることにもお金を出そうという動きはあるようだが、名古屋でも、「ひとり親家庭等自立支援計画」を策定して、総合的な支援の充実に努めるということなのでそれはしっかり応援していきたいと思います。

ひとり親家庭手当の支給期間を3年に限定するな

【くれまつ議員】
さて、このような状況であるにもかかわらず、国は社会保障費の抑制政策をとり、手当の給付から就労支援による自立支援へ政策を変えて、児童扶養手当の改悪や、生活保護の母子加算も廃止しました。名古屋市もそれにそって、平成18年から市のひとり親家庭への手当を3年で打ち切るように改悪し、対象者を約2万人から6000人へと3分の1に減らしてしまいました。これでは、働いても苦しいひとり親家庭をますます苦しめるものではないでしょうか。

ひとり親家庭手当の支給期間を3年に限定せず、額も増やし、継続して支給すべきと考えますが、いかがでしょうか。

現行制度の維持に努める(局長)

【子ども青少年局長】
ひとり親家庭手当は、市独自の制度で、子どもが18歳になるまで支給している児童扶養手当に加えて、支給している。この手当は、長期的に継続して給付するのではなく、ひとり親家庭となった当初の激変期の経済的不安を軽減し、早期の自立につなげることを目的に、短期間に集中して給付している。財政状況が厳しい中ですが、現行制度の維持に努める。

ひとり親家庭への支援を3年で打ち切るな(再質問)

【くれまつ議員】
局長は、激変期の経済的不安の軽減のためとして、3年で打ち切ることを理解せよといわれましたが、3年で経済的に自立できるのでしょうか。実態は母子家庭の平均収入は227万円で、経済的支援が必要という実態があるのではないでしょうか。市のひとり親家庭の実態調査でも、母子家庭の母親は、経済的な支援を第一にもとめています。3年たっても自立ができないのが現実です。

市長は、昨日の市民税減税10%の答弁で、減税はワーキングプアの人が対象で、非課税の人は対象ではない。非課税の人たちには、福祉で対応するとおこたえになりました。シングルマザーのほとんどは働いても貧困なワーキングプアですが、その多くが非課税世帯です。減税の恩恵がありません。だとすれば福祉の施策として、シングルマザーの生活安定のために、継続的な手当が必要ではないでしょうか。

ひとり親家庭手当の3年打ち切りを見直す考えはないか、再度伺います。

市独自は名古屋だけだから(市長)

【市長】
私も本当に頑張っておらっせるお母ちゃん、なんとかしたいと思っていますけど、国の制度に加える名古屋の3年間は政令市では名古屋だけということもあり、頭にはよう入れておきます。がんばっているお母ちゃんは応援せないかんということですが、ご理解いただきたい。

実情をしっかり把握してとりくめ(意見)

【くれまつ議員】
ぜひシングルマザーの実情をしっかり把握していただいて、子どもの貧困問題にも取り組むよう要望します。

父子家庭に児童扶養手当と同等の支援を

【くれまつ議員】
次に、父子家庭です。父子家庭の平均年収は480万で、母子家庭と比べれば高いですが、年収250万円未満の世帯は22%をしめています。母子家庭に支給される、国の児童扶養手当は父子家庭には支給されないのは、不公平だという声があります。親の性別で区別され、同じ低収入でも扶養手当がうけられないのは道理がありません。こうした中で、全国11の自治体が、収入の少ない父子家庭に児童扶養手当と同等の手当を支給し支援をしており、隣の春日井市も父子家庭への支援制度を昨年作りました。

名古屋市独自に父子家庭に対する、児童扶養手当と同額を支給できる制度をつくるつもりはないか。お答えください。

児童扶養手当は国がやること(局長)

【子ども青少年局長】
母子家庭に対しては、児童扶養手当が支給されています。父子家庭に対して児童扶養手当と同額を支給する制度は、本来、児童扶養手当制度の中で対応すべきものであると考えており、現在、国に対して制度の拡充を要望している。

なお、市では、父子家庭に対しても本市独自のひとり親家庭手当を支給している。

誰もが高校に通えるような支援制度を

高校入学準備金制度の申請要件改善を

【くれまつ議員】
不況の影響が、高校生にも及んでいます。“授業料が払えず、卒業証書をもらえない高校生”“父親の失業で、アルバイトを始めた高校生”“授業料の滞納者が増えている”などと言われています。中学卒業のほぼ全員が高校に進む今日、公的な就学支援の拡充が必要となっています。

今回の補正予算の中で、高校入学準備金の貸与者数が、80人から160人に拡充され、希望者の全員ではないですが、受けられる人が増えて、一定の評価をするものです。しかし、この入学準備金制度は、申請要件として前年度所得を基準にしており、今年に入って、失業などで、所得が激減した場合でも前年所得が高ければ要件にあてはまりません。

高校入学準備金制度の申請要件について、失業などの所得激減の場合には、申請時の経済状況で判断できるように改善すべきではないでしょうか。

解雇や倒産・失業などは対象にする(教育長)

【教育長】
入学準備金制度は、勉学の意欲がありながら、経済的理由により就学が困難な者に対し、高等学校入学時の費用を貸与する制度です。申請には前年度の総所得に関する証明の提出が必要で、この証明をもとに前年度一定の所得以下の方を申請の対象とし、前年度所得の他、母子父子家庭、就学者の人数、身体障害者等の人数を加味し、採用順位を決定している。現在、前年度所得をもとに可否の決定を行っているが、失業などの所得激減時への対応については、将来の収入見込みなど、その時点の異なる収入をもとに可否を決定することになり、公正に判定する方法が課題となっている。

今後、保護者が解雇、倒産によるに失業など一定の状況にある場合には、前年度の所得要件を満たしていない場合においても、当該年度の状況を考慮して、申請の対象として貸与の可否決定をすることを検討していく。

高校入学準備金の改善を急げ(要望)

【くれまつ議員】
9月の募集にむけて、すぐに実施できるよう要望します。

高校生にも就学援助制度の創設を

【くれまつ議員】
高校生への修学援助制度の創設についてです。不況下で、授業料の減免を受ける人が増え、また、ある県立高校では生徒の2割が授業料を滞納しているということです。修学旅行の積み立てができないという話も聞きます。奨学金制度がありますが、卒業後にお金を返さなくてはならず、低所得の家庭にとっては、負担が重く、中退するケースが増えています。ひとり親家庭でも経済的な状況によらず、高校に通えるようにするには、就学援助制度を高校生に拡大すべきではないでしょうか。

高校生にもあらたに就学援助制度を創設すべきではないでしょうか。お答えください。

奨学金制度や入学準備金制度がある(教育長)

【教育長】
義務教育ではない高等学校の生徒の保護者は就学援助制度の対象外となる。市立高等学校は授業料滅免制度で授業料の全額又は半額を免除している。また、私立高等学校は、政令指定都市では本市と新潟市のみ実施の授業料補助を行っており、その補助額は一番高い水準となっている。

このほか、愛知県で旧日本育英会の奨学金制度を統合した高等学校奨学金制度を実施している。また本市独自の名古屋市入学準備金制度があり、今回、補正予算により採用人数を倍増するよう、提案させていただいた。

今後とも、生徒が就学困難な状況に陥らない様に、引き続き適切な運用を行っていく。

PFIによる守山スポーツセンターの建設について

PFI事業者の不正をなぜ見逃したのか

【くれまつ議員】
守山スポーツセンターは、日立が代表者となって守山エスアンドエス株式会社という事業者をつくりPFIで行われています。3月から建物の基礎工事が始まり、4月始め、市民の方が、セメントの強度やくいの溶接など、工事の問題を教育委員会に告発し、私どもにも情報が提供されました。教育委員会は、守山エスアンドエスに対し、調査を要請したところ、建物の基礎となるくい打ちで不正な工事が明かになりました。10mのくいを2本溶接する工事が基準通り行われていませんでした。また、工事の現場写真の日付にも不正がありました。そこで、市の教育委員会は、守山エスアンドエスに、改善勧告を出し、事業者からは、223本のくいを新品でうちなおすことや、くいの施工を行った下請け業者を変えてすすめるという改善計画書が出されました。建築物を支える杭の溶接不備という建物の強度にかかわるような欠陥工事が明らかになりました。

私は、昨年2月の定例会で守山スポーツセンターのPFIによる施設整備・運営について質問をしました。PFIにより、建築経費が7億円安くなり、建物の安全性が確保できるのかという質問に、教育長は、市が「事業者からの計画書、報告書等の提出や工事内容の現地確認などのモニタリングを行う」、「PFIガイドラインに基づいて、設計・建設業務に関する専門的知識を有する外部アドバイザーによる確実な監督指導を行って建物の安全性を確保していく」という答弁をされました。

安全性を確保したはずが、欠陥工事が明らかになりました。PFIの事業者がなぜ不正工事を発見し、是正できなかったのでしょうか、また、名古屋市のモニタリングや監督指導に問題はなかったのか、答弁をもとめます。

施工会社の管理監督が不十分。市のモニタリングも改善が必要(教育長)

【教育長】
PFI事業者の調査報告書によると「杭工事の施工会社による管理監督が不十分であった、作業員自身が溶接手順を遵守しなかった」との2点が直接の原因と報告を受けている。市としては、杭工事に係る施工管理に不備があり、PFI事業者によるセルフモニタリングで十分なチェックが行われなかったと考えている。

市のモニタリングは、建設工事が市の要求水準を満たしていることを監視・確認するもので、PFI事業者からは、杭工事の進捗は良好との報告を受けており、市は適切に工事が施工されていると認識していた。しかし、不適正な杭工事が行われていたことは事実であり、市のモニタリングにも改善すべき点があったと考えている。

改善勧告後の工事では、市によるモニタリングの回数を増やして、適宜、工事状況を確認している。また、PFI事業者からの報告事項を細分化させるなど、市のモニタリングの質を高めていきたい。

セルフモニタリングの強化で安全な建物ができるのか

【くれまつ議員】
事業者の改善報告書には、重大な欠陥工事を行った監督責任が塩浜工業であるとしながら、塩浜工業には何の処分もされていません。そして、不正を行った下請けの業者をかえて、塩浜工業の責任は免れるのはおかしいのではないか。こうした不正工事の責任をあいまいにしたまま、PFIの参加企業内のセルフモニタリングを強化するといっても、工事現場で下請け企業を監督して、市が要求する通りの安全な建物ができるのでしょうか。そこで、教育長に伺います。

重大な欠陥工事が行われた守山スポーツセンターは、不正を行った下請け業者を監督できなかった塩浜工業の責任をあいまいにしたままで、守山エスアンドエスのセルフモニタリングを行っただけで、事業者内での相互点検を強めれば、二度と不正は発生せずに、安全な建物ができるのかどうか、お答えください。

より一層監視・点検などモニタリシグの充実に努める(教育長)

【教育長】
PFI事業契約では、市の要求水準から逸脱していることが判明した場合、市はPFI事業者に対して改善勧告の中で指摘し、是正することになっており、手続きを踏んだところです。今回の不適正な工事では、工事現場責任者等を変更するとともに、実施済みの杭工事費、杭引抜き工事費等をPFI事業者自らが調達し負担します。また、全体工事が当初計画から遅れる場合は、工事遅延金の支払いが発生します。

今後はPFI事業者による施工管理体制の強化及びコンプライアンス遵守を再度徹底させるとともに、市としても、より一層監視・点検などモニタリシグの充実に努め、適切な建設工事が行われるよう万全を期していきたい。

PFIの見直しが必要(意見)

【くれまつ議員】
セルフモニタリングを強めるとか、市もモニタリングを強めるとかいうことで、実際、職員は現場に入って、安全を確認して進めるように努力しているが、今、PFIは安くて質の高いサービスができているのかどうか、PFIの見直しが必要ではないかと指摘しておきます。

 

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