2008年6月定例会 議案外質問 くれまつ順子議員(6月24日)

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後期高齢者医療制度について


くれまつ議員

市長はどういう認識を持っておるのか

【くれまつ議員】
後期高齢者医療制度について、高齢者をはじめとする市民の方から、大きな怒りの声がわきおこっています。75歳をこえたというだけで、病気の予防から、外来・入院・終末期まで、あらゆる医療場面で差別される、世界に例のない高齢者差別の制度です。

私ども共産党市議団が6月からとりくんでいる市政アンケートに、この制度について、たくさんのご意見をいただきました。その中から、ご紹介します。「一番高齢者をばかにした制度だ。年寄りは早くこの世から去れといわれている。苦しい時代を生きた私たちは、日本に生まれてきて損をした。」以上は70代の女性です。「夫婦で8万円も保険料が上がった」という方や、「私たちの世代に係わってくると思うと不安です」という現役世代の声もありました。

戦後の日本を支えてきた方々が、75歳をすぎて長寿をお祝いしてもらえるかと思ったら、新たな保険料を取られて苦しくなり、国からは「治療に手間と時間がかかる」「認知症が多い」「やがてさけられぬ死をむかえる」といわれて、見捨てられたと怒っておられるのです。

こうした怒りや不安の声が、参議院での廃止法案可決という大変重みのある形になりました。また、全国の都道府県の6割の医師会がこの制度に反対や慎重な態度を表明しました。名古屋市医師会は、診療報酬が月6000円で頭打ちの「後期高齢者診療料」について、問題が多いとして、市内の医療機関に慎重な態度をとるようによびかけました。なぜこのような不評な制度ができたのか。後期高齢者医療制度は、それまでの高齢者の健康の保持や病気の予防・治療を目的にした老人保健法をやめて、「医療費の適正化を推進する」ことを目的にしたからです。医療費の削減が最大の目的になっている制度だからこそ、怒りが広がっているのです。

そこで、市長におたずねします。

市長は、本制度について、広報なごや6月号において、“影響を受ける側の立場に立った丁寧な説明が不十分”との認識を示しておられますが、丁寧に説明をすれば理解される制度だと今でも思っているのですか、医療費の適正化が目的という制度の成り立ちからして、制度の根幹に欠陥があるとお考えになりませんか。おこたえください。

必要な改革であるが、国の説明不足だ(市長)

【市長】
後期高齢者医療制度を含めた今回の医療制度改革は、現役世代と高齢者世代の負担を明確にし、高齢者の方々にも負担能力に応じて保険料を負担していただくことで、高齢者の医療費を安定的に支え、将来にわたって安心して医療が受けられるようにするために必要な改革である。しかし、政省令の公布の遅れなど、制度の細部が直前まで明らかとならず、準備期間が非常に短かったこと、また、本来国が責任を持って周知すべき制度創設の趣旨などについて、ていねいな説明が欠けていたことから、各地で混乱が生じた。

こうした中、今般、政府・与党において低所得者の保険料負担の軽減を始めとした見直しが決定された。先日、指定都市市長会として緊急意見書を国に提出したが、国には十分な準備期間を確保し、見直しの趣旨や内容について十分な周知に努めていただきたい。保険料の軽減策は、必要な財源を国が責任をもって確保していただきたい。

市としては、市民に対して、引き続き制度の意義や趣旨をていねいに説明し、理解していただくよう努めたい。

保険料負担増の市民への影響をどうみておるのか

【くれまつ議員】
保険料についておききします。政府は、当初7割の方が後期高齢者医療制度になって保険料が安くなると言っていましたが、厚労省の実態調査では、全く違うことが明らかになりました。本市はどうなったのか、このパネルをごらんください。厚労省に本市が報告した全国一律の調査結果に本市独自の減免などを加味した、より現実的なものです。青は19年度の75歳の国保料です。赤は後期高齢者医療制度の保険料です。年金収入別に単身世帯、夫婦ともに75歳以上の場合、夫が後期高齢者で妻が国保の場合と3つのケースで比べました。ごらんのとおり、年金400万円の単身世帯を除いて、みな後期高齢者の保険料が高くなり負担が増えています。

国保料と後期高齢者保険料

そこで、健康福祉局長におたずねします。本市では後期高齢者医療制度へ移行された方のうち、何人何割の方がいくら負担増になったのか、お答えください。

国の調査結果と反対に負担増の人が多くなっている(局長)

【局長】
先日、国において、国民健康保険から後期高齢者医療制度へ移行した75歳以上の保険料負担の増減について調査が行われ、全国の約7割の世帯で保険料負担が減少するという結果が公表された。本市の状況は、4月の後期高齢者医療制度の実施で国民健康保険から移行した約17万人のうち、全体の7割強の約12万人余りの方の保険料が増加する状況で、国の調査結果とは逆の傾向となっている。保険料の増加額は、12万人のうち約6割の方が、1人1月あたり1,000円〜3,000円の増加となっている。

その要因として、第1点に、市の国民健康保険は、75歳以上の被保険者に独自に減免制度を設けていたこと、2点目に、保険料を計算する際に、後期高齢者医療制度では、加入者の所得をもとに計算しているが、国民健康保険は所得から配偶者控除や扶養控除などの各種控除を行った住民税をもとに計算するという、保険料の計算方法の違いが挙げられる。国民健康保険では、住民税をもとにした保険料の計算方法を用いて低所得の方に配慮した保険料となっている。

(国民健康保険料の最高限度額は、世帯で53万円となっていたが、後期高齢者医療制度では、個人で50万円が最高限度額となっているから、高所得の夫婦世帯では、場合によって計100万円になる。)

低所得者への負担軽減策が必要だ

【くれまつ議員】
こうした低所得者への保険料負担増に対して、政府与党は新たな減免を提案していますが、もともと、名古屋市の国保には75歳減免があったので、昨年まで10割減免を受けていた55000人は、9割減免になっても負担増には変わりないのです。

そこでおたずねします。後期高齢者医療制度が廃止されるまでの緊急措置として、低所得者への保険料負担をなくすための、保険料を減免する新たな本市独自の制度をもとめるものです。健康福祉局長、お答えください。

市独自の軽減は不公平になる(局長)

【局長】
4月から後期高齢者医療制度に加入した約199,600人のうち、およそ3分の1の約67,000人の保険料均等割額の7割が軽減され、月額1,000円の保険料負担となっている。政府・与党の見直し案では、平成20年度は月額500円に、21年度からは一部の方について月額333円の負担となる。

後期高齢者医療制度の保険料は、県内のどの市町村でも、また、これまでの医療保険制度が違っていても、原則として、同じ所得の人であれば、同じ保険料負担となる。この制度の趣旨から、市独自に保険料負担を補填するための新たな制度を創設することは、県内の被保険者の間に新たな不公平を生じさせることになるため、困難である。

75歳以上の市民に対する休養温泉ホーム松ケ島の利用割引を

【くれまつ議員】
休養温泉ホーム松ヶ島の利用料割引の問題です。国保加入者には保健事業として、1000円の割引があります。ところが、75歳以上の方は、国保から後期高齢者医療制度に移されたので、この割引を受けられなくなりました。松ヶ島は、名古屋から近くて、緑豊かで、天然温泉もあり、高齢者の方に人気の施設です。19年度は20000人の方が利用される評判の保養所です。そのうち8割が60歳以上、そしてその半分が75歳以上の方という高齢者のための保養所であるのに、75歳になると助成がなくなるというのは、あまりにも理不尽ではないでしょうか。ここにも後期高齢者医療制度による高齢者差別があります。今、全ての75歳以上の方には後期高齢者医療制度による健康診査しかありません。健保組合などに加入されていた方も、それまでの保養施設利用などのメリットがなくなっています。

そこで、お尋ねします。長寿をお祝いする制度として、75歳以上のすべての方に、松ヶ島の利用料への助成を本市として新たに創設すべきです。健康福祉局長 お答えください。

保健福祉施策全体の中で考えたい(局長)

【局長】
4月から後期高齢者医療制度が施行され、従来、国民健康保険の被保険者であった75歳以上の方は、国民健康保険の事業である保養施設利用助成の利用ができなくなった。現在、市民代表の方の参画も得た「高齢者施策推進協議会」で、第4期「名古屋市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の策定に向けた検討を進めている。

松ケ島の今後の事業のあり方も、この協議会で、高齢者の健康づくりの支援という観点も踏まえ、保健福祉施策全体の中で考えたい。

後期高齢者制度の加入しない65歳以上の障害者へ医療費助成を

【くれまつ議員】
障害者の医療費助成について、障害者の方から、「なぜ障害があると65歳から後期高齢者医に移らなければならないのか」と声があがっています。65歳から74歳までの障害者の方は、後期高齢者医療制度に加入するかどうかは法律の上では自由に選択できます。しかし、本市では後期高齢者医療制度の選択をしない場合、医療費助成制度の適用がはずされてしまうので、医療費無料から3割の自己負担となります。一方、後期高齢者医療制度に入ると、これまでの健康保険や国保の扶養家族からはずされ、新たな保険料の負担が必要となるし、差別医療が不安である。どちらを選択すべきかと障害者は困惑しています。今まで通りの保険を選択した場合に、医療費助成がうけられるようにと障害者は望んでいるのです。このように、後期高齢者医療制度に入ることを障害者への医療費助成の条件にしているのは愛知県など全国で10道県しかありません。他の都府県では、後期高齢者医療制度に加入しなくても、医療費助成を公費負担しているのです。

本市でも、障害者の方が今まで通り、安心して必要な医療がうけられるように、後期高齢者医療を選択しない場合でも、65歳以上の障害者への医療費助成がうけられるようにすべきと思います。市長、お答えください。

後期高齢者に入れば受けられる(市長)

【市長】
65歳以上で障害のある方は、従来から老人保健制度の対象とされ、この考え方は後期高齢者医療制度に引き継がれ、医療機関における窓口負担は原則1割に軽減することとされている。市では、老人保健制度と同様に、窓口における一部負担金が無料となるよう福祉給付金制度による助成を実施している。

この福祉給付金制度による助成は、国の医療保険制度を活用したうえでなお負担が生じる場合に、市が独自の財源等により実施している。対象の範囲や内容を勘案しても、他都市と比較して遜色のないものである。

国民健康保険制度について

保険料の値上げは許せない

【くれまつ議員】
後期高齢者医療制度は、国民健康保険の負担を減らすしくみだと説明されてきましたが、実際は、「後期高齢者医療制度の実施」を理由に国保料の値上げがされました。全国で3割の自治体が値上げをし、中でも、名古屋市は大幅な値上げです。

74歳以下の方の減額前の保険料は、昨年の90,900円から今年は97,700円と約7000円、率にして7.5%もの値上げとなりました。従来名古屋市の保険料は政令市で14位と低いほうでしたが、今年度は4位にランクアップし、高い保険料になりました。

本市は、今年度から新しい3つの算定方法を使い保険料をあげました。1つは、葬祭費の全額と出産一時金の3分の1を保険料に賦課する方法、2つは、特定健診と保健指導分を保険料に加えること、3つは、保険料の未納分7%のうちの3%分について保険料に上乗せするやりかたです。国保会計への一般会計からの繰入を30億円もへらし、保険料の大幅値上げとなりました。

物価がどんどん上がり、暮らしが大変な時に、なぜ今国保料の値上げをするのですか。後期高齢者医療制度の実施で、国保は下がるはずではなかったのか、それを上げるとは、許せません。後期高齢者医療制度の問題に隠れた、便乗値上げではないでしょうか。特に、今回の値上げの最大の根拠になっている保険料未納分を保険料でまかなうやりかたは、問題です。保険料を払えない人の分を他の人が払うなんて理屈にあいません。未納が増えたら、また保険料をあげるのですか。滞納者の増加と保険料の値上げの最悪の悪循環に陥ります。

現在、国保の加入者の実態は、自営業者がへり、高齢者やリストラされて無職になった方、派遣や請負など非正規で働く若者が増えています。加入者の多くは低所得の方です。こんな筋の通らないやり方で保険料をあげたら、ますます保険料未納がふえ、国保制度が成り立たなくなります。

そこで、市長に伺います。市長は、市民の命とくらしをまもる立場に立ち、国保への一般会計からの繰入れを増やし、だれでも払える保険料に引き下げをすべきだと思いますが、いかがですか。市民の多くは国保料高いと感じていますが、市長は現行の国保料は当然払えるものとお考えなのでしょうか、お答えください。

将来を考えての値上げ(市長)

【市長】
国民健康保険事業の運営は、本来、国庫や県支出金によるほか、加入者の保険料によりなされるものだが、他の医療保険制度と異なり、高齢者や所得の低い方の加入割合が高く、財政的基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱え、厳しい財政運営を強いられており、毎年、多額の一般会計繰入金を投入している。一般会計繰入金の財源は市税であり、市税による負担と保険料による負担のあり方について検討し、制度を将来にわたって安定的に運営していくために、今年度7.5%の保険料改定をした。

今回、国民健康保険の加入者の減少と保険料の改定で、平成20年度予算の一般会計からの繰入金は約208億円と、平成19年度に比べて約30億円減少した。しかし、加入者1人当たりの繰入額は、29,887円から33,964円へと約4,000円増となっている。

国民健康保険特別会計への国庫補助金の増額を

【くれまつ議員】
国は毎年2200億円もの社会保障費を削っており、国保への補助金をへらしています。これには日々批判の声が強くなっており、今こそ国庫補助の増額を国に求める時と考えますが、健康福祉局長におたずねします。

指定都市共同で国へ要望している(局長)

【局長】
国民健康保険制度が、将来にわたって、地方負担や保険料負担を増加させることなく、制度を維持していくためには、国からの補助が重要になることから、市としては、従来から、指定都市共同で、国庫補助増額について国へ要望している。

資格証明書の大量発行の中止を

【くれまつ議員】
国保の資格証明書発行の問題です。保険料の大幅値上げにより、滞納が増えて、資格証明書の発行がさらに増えないかと心配されます。国が資格証明書の発行を義務付けたけれど、数年は発行が抑えられていました。しかし、証明書の発行世帯は、3年前の18から、2006年は672、そして、2007年度末で1084と急増しています。資格証明書が発行されている世帯の4割は所得200万以下の世帯です。生活に困っている人から保険証を奪い、命の危険にさらすことはやめるべきです。昨年、全国では保険証とりあげによって受診が遅れて重症化し、死亡された事例が31件あったという医療機関の調査があります。

生活に困っている市民から保険証を奪う、資格証明書の発行はやめるべきです。健康福祉局長の考えをお聞きします。

きめ細かい納付相談などで柔軟な対応をしている(局長)

【局長】
資格証明書は、納めるべき保険料額にみあった所得・資産がありながら、長期にわたって保険料を滞納している方に対する滞納整理の方策や納付相談の契機となっており、国民健康保険の健全な事業運営の観点から、あるいは相互扶助に基づき成り立っている国民健康保険制度の理念からも、重要なものです。

滞納者に一方的に資格証明書を交付するのではなく、滞納が1年以上経過した方に、市独自に長期滞納者として認定を行い、災害、病気、事業の休廃止といった、納付の困難な特別の事情があるかをたずねる文書を送付している。

きめ細かい納付相談を行い、話し合いの中で理解が得られれば、資格証明書の交付を行わないなどの柔軟な対応をしている。

市民の声が聞こえない市長ですね(意見)

【くれまつ議員】
ただいま、市長、健康福祉局長より答弁をいただきましたが、全く納得できません。3点について、指摘します。

「低所得者が多くて大変」といいながら値上げする「極悪」市政だ

国保料の引き下げを私は求めたのに、保険料はあげるという答弁でした。国保は高齢者や所得の低い方の加入割合が高くなっているとの認識があるなら、なぜ、保険料をあげて、さらなる負担を市民に求めるのか。市民は国保料の値下げをもとめています。払える国保料へ引き下げることを強く要望します。

選択の自由を認めない市政だ

65歳以上の障害者への医療費助成の問題では、全国37都府県では制度の仕組みを尊重して、選択ができるということで、独自に公費を支出しています。後期高齢者医療制度の保険料を新たに負担させることなく、本市のすぐれた医療費助成を障害者のみなさんに受け続けられるよう強く要望します。

負担増の人が多いという現実すら見えない市長だ

市長の後期高齢者医療制度の認識についてです。

高齢者の方が75歳で線をひかれて、差別されると怒りや不安がひろがっているのに、この制度は説明すれば、市民が納得するという冷たい答弁でした。

75歳以上の市民の7割もが負担増になるというのに、政府与党の見直し策では、負担軽減の対象者はわずか3割です。低所得者への一部軽減で世論の批判をかわして、制度を続けることは許されません。この制度では、保険料は2年ごとに見直され、団塊の世代が75歳になるときには、保険料は2倍になるといわれています。市民の負担を増やす制度だということを、市民に説明し、国に対して、中止・廃止を要望するのが、あなたの仕事だと指摘しておきます。

国会では、後期高齢者医療制度の廃止法案が国民の怒りの前に、与党も廃案にできませんでした。わが党は、国民のみなさんと力をあわせて、廃止にむけた運動を強め、次の臨時国会で廃止法案が成立するよう全力をつくす決意を最後にのべて、質問を終了します。

 

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