2007年11月定例会 議案外質問 うめはら紀美子議員(2007年11月29日)

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子ども条例について

条例制定に向けての考え方は


質問するうめはら議員

【梅原議員】
名古屋市は、来年2月定例会に「名古屋市子ども条例」の提案を予定しています。11月21日には、「なごや子ども条例の基本的考え方について−検討会の提言−」が出されたところです。

「提言」には、子どもについての基本的な考え方として「子どもは、生まれながらにして1人ひとりがかけがえのない存在であり、周りの人に大切にされ愛され信頼されることによってこそ、自分や他人の命の大切さを知ることができます」としるされています.国連「子どもの権利条約」を基本にしながら4つの権利、すなわち(1)安心して生きる権利、(2)一人ひとりが尊重される権利、(3)豊かに育つ権利、(4)主体的に参加する権利、をうたっています。

今、子どもたちの中には、いじめに悩み、虐待を受け、家庭や学校に居場所がなく、自殺するなど、子供が生きていく権利が脅かされています。子どもの当たり前の権利や要求が社会的に認められない状況があります。子どもは将来を担う宝であり、未来への希望であります。子どもの権利の保障がされなければ、「次の世代を担う大切な存在」である子どもは育たず、社会は発展しません。提言で示された4つの権利をしっかりと保障することが、子どもが育つことにつながると、私もそう確信しています。

そこで質問いたします。市長は「提言」をどのように受け止められておられるのか、率直な感想をお聞きします。

子どもの権利を保障し、子どもを社会全体で支援する(市長)

【市長】
子どもと子育て家庭にやさしいまち名古屋を目指して、子ども条例を制定することとし、昨年8月に学識経験者、企業関係者からなる子ども条例検討会を設置し、今月、最終提言を得た。提言では、子どもはかけがえのない存在として、愛情と理解をもってはぐくまれ自分に自信を持ち、安心して豊かに生きていくこと、一人ひとりの個性や意見が尊重され、その体験を通して、他を思いやる心やルールを守るなどの社会性を身につけ、健やかに育っていくことが社会全体の願いであるとしている。

本市は、この提言を尊重し、「子どもの権利を保障し、子どもを社会全体で支援するための基本的な考え方」をとりまとめた。

今後の取り組みについて

【梅原議員】
8月に出された「検討骨子」に対する市民意見には「子どもを守る条例なのだから義務を入れないで欲しい」という意見と、「子どもの権利を教える前に義務を教えるべきではないか」との意見がありました。子どもの権利と義務について考えるのは大切なポイントだと思います。

私は、子どもが自分の権利を行使する経験を積み重ねることにより、相手の権利を尊重できる大人に成長するものだと考えます。「提言」が、「子どもたちが、たがいに権利を尊重しあい、責任ある社会の一員として育つことの大切さを大人が教えるべきであると考え、子どもの権利を保障する大人の責務に掲げた」とのべ、子どもの義務については書かなかったことに私も同意するものです。

また「提言」は、「子ども同士のかかわりあいや様々な人との触れ合い、体験をしながら自ら考え、判断し、自分の行動に責任を持ち、合わせて他者の人格や権利を大切にし、社会の一員として自立した大人へと成長していくものだと考える」とも述べており、子どもの権利について深い検討がなされたと思います。

この提言の中心ポイントである子どもの権利の理解を市民全体のものにしていくための積極的な姿勢と努力が何よりも大切です。これまで名古屋市はシンポジウムを開催しましたが、参加者の延べ人数は750人であり、今後、パブリックコメントを終えて条例提案するというだけでは不十分です。権利侵害は学校で多々起きており学校での取り組みが大きな位置を占めています。それにもかかわらず、条例制定に向けて教育委員会の取り組みは消極的に見えます。子ども青少年局だけでなく全局あげての取り組みが求められています。市長はこれから2月議会までに多くの市民の理解を得るための取り組みを考えているのでしょうか。

条例提案に向けて市民の合意を得るための市長の決意をうかがいます。

市民が関心を持ち、理解を深めていただけるよう周知に努める(市長)

【市長】
子ども条例の制定にあたっては、市民の参画や、機運の醸成が大切と考え、これまで、検討会委員も参加した子ども集会や、シンポジウムなどにおける市民との直接対話、あるいは、子どもと保護者への意識調査など、総計約5,500人の市民から意見をきいてきた。

基本的な考え方に対するパブリックコメントの実施も、子ども向けと一般向けの2種類のパンフレットを作成し、児童館など子ども関係の施設へ配付するとともに、子育て支援団体や、企業関係者などにも直接意見を聞くなど、市民が関心を持ち、理解を深めていけるよう周知に努めている。

今後、市民からの意見を踏まえ、子どもにとって大切な権利を確認し、その保障のための市、保護者、地域住民等、学校等関係者、事業者の責務と、市の基本となる取り組みを定め、子どもが健やかに育ち、子どもを社会全体で支援するまちの実現を目指し、2月市会に、条例案を上程したい。

全局あげてこどもの支援をする体制を(意見)

【梅原議員】
名古屋市は子どもの権利を保障するために全局あげてこどもの支援をする体制を作り、「子育てするなら名古屋で」と名実ともにする決意を市長は持っていただきたいと思います。

プレーパークへの支援策について

財政的支援と施設の拡大を

【梅原議員】
プレーパークとは、自分の責任で自由に遊べることをモットーとした遊び場です。子どもが主役の遊び場で自然に触れ、木登り、火起こし、泥遊びなど少し危険でも自分自身がやりたいことに挑戦できる遊び場です。子どもが自然に触れ合う場でもあります。

こうしたプレーパークは各地で作られていますが、名古屋市では天白にしかありません。先日、その天白プレーパークで、子どもが生きいきと活動している姿を見てきました。子どもたちが木に登ったり、大きな穴を掘ったり、焼き芋を作ったり、基地づくりをしたり、思い思いに遊んでいました。遊びの中の危険に、大人が「危ない」といって止めさせるだけではなく、子どもの力で自分を守る力をつけることが重要視されプレイリーダーといわれる大人が、子どもの認知できない危険を取り除き、子どもが自由に遊べるように配慮していました。子どもが自然に触れ合う場としてまた、ほっとする場として、また、子どもが挑戦できる場としてのプレーパークは子どもの成長発達を保障する場として重要な役割を果たしており、名古屋市が行うべき事業だと思います。しかし、この運営は会員の会費でまかなわれ、プレーパークとしては市からの助成は受けていません。運営に名古屋市のいっそうの援助が望まれます。

そこでお聞きします。市民が取り組んでいる、こうした公共性のある有益な事業に対して、積極的に助成を行ってはどうでしょう。また、市内各地にこのようなプレーパークを作るべきではないでしょうか。子ども青少年局長お答えください。

検討したい(局長)

【局長】
名古屋新世紀計画2010の第3次実施計画において、子ども自身が主体的に参画し運営する遊びや職業体験、自然体験、社会体験の場づくりを進める「いきいきなごやっ子づくり」事業の実施を目標に掲げ、今年度は有識者や関係団体の方などによる「いきいきなごやっ子づくり研究会」を立上げ、プレーパークなど新たな遊び場づくりの事例を取り上げながら調査・研究を行っている。

今後、研究会での調査研究の結果を踏まえ、プレーパークなどの遊びや体験の場づくりについて検討をしたい。

助成の検討を必ず(要望)

【梅原議員】
遊び場づくりについて検討するとお答えいただいたのですが、検討する内容として、現に市民が自主的に行っているプレーパークに助成を行うことを検討してください。

DV問題について

基本計画の策定をせよ

【梅原議員】
名古屋市のDV対策は総務局中心に進められてきました。しかし、昨年、DV被害者を初めとした女性の福祉的支援を市の業務とする「女性福祉相談員」を各区役所に配置しました。これにより総務局中心で進められてきた対策が、子ども青少年局所管になり、福祉施策として進められるようになりました。さらに、「配偶者暴力相談支援センター」が今年7月に開設され、体制が強化されました。しかし、名古屋市の福祉施策としてのDV対策はまだ緒に就いたばかりです。国では今年、DV防止法の再改正が行われ、来年1月に施行されます。これにより市町村にもDV対策の基本計画の策定が努力義務となりました。「DV根絶」を目指す名古屋市としては基本計画の策定が求められます。

そこで質問いたします。先ほどの質問に答えて、必要性も含めて検討していくといわれましたが、市が基本計画を策定していくことが必要です。男女平等や女性の人権という視点とあわせて、女性の福祉の視点を、その両輪としてしっかり位置づけなくてはなりません。すなわち総務局との関わりを持ちながら、子ども青少年局が責任をもって計画策定を進めるべきだと考えます。基本計画の策定について、どのように進めていくのか市長に答弁を求めます。

検討したい(市長)

【市長】
本年7月、DV被害者の保護命令の申立支援などの機能を持った「配偶者暴力相談支援センター」業務を開始し、区役所が休みの土・日・祝日の電話相談窓口としてDV被害者ホットラインを新たに開設するなど、これまでDV被害者支援策の充実に努めた。

現行のDV防止法では、DV防止及び被害者保護のための施策の実施に関して基本計画を策定することが、都道府県に義務付けられ、来年1月施行の改正DV防止法によりこの基本計画の策定が、市町村についても努力義務とすることが予定されている。

今後、基本計画の策定は、必要性を含めて検討したい。

配偶者暴力相談支援センターの機能充実を 一時保護所の設置が必要だ

【梅原議員】
現在、配偶者暴力相談支援センターは、一時保護を県の女性相談センターにお願いしています。しかし、DVは命の危険など、一刻も猶予できない場合もあり、名古屋市が独自の一時保護所を設置しておくことが必要です。先日、私がある民間シェルターでお聞きしたことです。朝早く飛び出した女性の落ち着き先が決まったのは、午後3時過ぎでした。その女性とって、落ち着き先が決まるまでの不安は計り知れないものでした。一時保護所の設置があれば、安心できたことと思われます。一時保護所の設置をするつもりがあるのか、子ども青少年局長にお聞きします。

県に対して働きかけたい(局長)

【局長】
配偶者の暴力等から逃れるために、DV被害者を一時的に保護するための施設として、県の女性相談センターが実施している一時保護のほか、名古屋市も、これを補完するため、独自に緊急一時保護事業を実施している。また、民間シェルターに対して部屋の確保のための補助を行うとともに、今年度から1泊程度の緊急宿泊が必要なケースに対する緊急宿泊事業と2か月程度の滞在が必要なケースに対する中期滞在支援事業を新たに開始した。

DV被害者の方からの禰談は年々増加傾向にあり、一時保護の受け入れ先を増やしていくことは、DV被害者支援を進めていくうえで課題となっている。

今年度、緊急宿泊事業を開始するなど一時保護を補完する施策を充実した。また、DV防止法では一時保護は県が行うこととなっているので、県に対して一時保護施設の確保について働きかけたい。

外国人への通訳体制の確保を

【梅原議員】
フィリピン、タイなど外国人被害女性に対しては言葉の壁があり、解決するには多くの困難があります。人身売買にかかわることもあり、専門性が必要です。

このため、これまで区役所での相談には、民間の支援団体の力なども借りて被害女性の支援にあたってきました。現在は、愛知県多文化共生センターが今年4月から実施している「多文化ソーシャルワーカー事業」を通じて通訳の支援をうけるようになりました。しかしこの制度の趣旨は、外国人の方の医療・福祉などにかかわる行政手続きなどのさまざまな援助をソーシャルワーカーが行うということで設けられており、通訳派遣事業ではありません。多文化共生センターでは月20件の相談のうち、3割がDV相談となっています。名古屋市としても愛知県に任しておいて、よいものでもありません。だからこそ、市の「被害者支援センターのあり方研究会」では、通訳を視野に入れていく必要があると提案しています。

多くの困難をかかえている外国人女性に対して、配偶者暴力相談支援センターに通訳体制の整備を求めるものです。子ども青少年局長、お答えください。

関係機関や民間の支援団体の協力を得られるよう、連携を強めたい(局長)

【局長】
昨年度、区役所においてDV被害者の方から相談を受けた件数は666件と前年度の倍近い件数となっているが、これに伴い外国人の被害者の方からの相談も増えている。外国人の方から相談があった場合の具体的な対応としては、区役所から県の女性相談センター、県の国際交流協会及び市の国際センターなど、関係機関に通訳をお願いするケースのほか、外国人被害者の方が民間団体の紹介で通訳ボランティアの方と一緒に窓口に来られる場合もある。

DV防止法では、外国人への対応について、「職務関係者は、その職務を行うにあたり、被害者の国籍を問わず、その人権を尊重しなければならない」とされている。外国人のDV被害者への支援では、慣習の違いやDV特有の状況を理解できる通訳者が増えていくことが重要だと考えている。

今後はDV特有の状況を理解できる通訳者の確保を図るために、関係機関や民間の支援団体の協力を得られるよう、連携をより一層強めたい。

支援団体のボランティアと契約し助成を(要望)

【梅原議員】
答弁では民間の支援団体の協力を得られるよう、連携をより一層進めてまいりたいと答えられましたが、連携を言うなら財政的に裏付けを持つべきです。

名古屋市が市の責任として通訳の体制を確保する必要があります。もし通訳を頼むとタガログ語は数時間10万円といわれています。名古屋市ではDVのことも理解している支援団体の通訳がボランティアで活動しています。こうした団体と契約し助成することを要望し質問を終わります。

 

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