2007年11月定例会 議案外質問 江上博之議員(2007年11月28日)

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不適正な会計処理による現金等の保管について


質問する江上議員

市長の認識の甘さが自体を大きくした

【江上議員】
裏金問題が出て、一体名古屋市は何をやっているんだ。高い税金を取っておきながらひどい。市民の皆さんは怒っています。さらに、昨年、市長は「ない」と言い切った事柄ですから、市長への信頼そのものがなくなっています。

昨年9月議会で、「裏金」の存在はないか質問された際、市長は、「岐阜県のような不適切な事例はございません。」と答弁しています。当時の因田助役は、「いわゆる空出張、あるいは食糧費というようなのから不適切な裏金を作った、そんな事例はない」と答弁されています。だから、これ以上の調査は行わないとしていました。しかし、今回、現に裏金の存在が明らかになり、現時点でも4500万円あります。昨年4月の調査は、地下鉄券売機での釣銭を職員が着服したことを受け、現金と金銭出納簿と照合することを求めたものです。税金の不適正処理の問題でなく、明らかに今回のような裏金の存在を調査したものではありませんでした。にもかかわらず、この調査から市長は、裏金問題はないと言い切ったわけです。この点について、市長も先の議員総会で、不十分な調査であったと認めています。しかし、不十分な調査というより、前提の認識に誤りがあったのではありませんか。

そこで、お聞きします。不十分な調査をもとに、裏金はないと言い切ったところに、市長自身の裏金問題に対する認識の甘さがあったのではありませんか。どのようにお考えですか。さらに、どうして岐阜県庁の問題が出ても改めて調査をしないという判断をしたのか、どこに問題があったと考えているのか改めてお聞きします。

信頼を大きく損ない、申し訳ない(市長)

【市長】
不適正な会計処理による現金等が保管されていたことは、あってはならないものと認識し、市民の皆様の信頼を大きく損ない、まことに申し訳ないと思っている。

公金の執行・管理の結果について、法令にもとづく監査、検査を受けるほか、昨年4月には、公金及び準公金を含めた金銭出納事務の全庁的な点検も実施し、不適正な事例はなかったことから、昨年度は、改めて調査する必要はないと判断した。

しかし、今回、保管金の存在が判明した以上、その調査の趣旨が徹底しておらず、結果として不十分なものであり、不適正な会計処理に対する認識が十分ではなかったと言わざるを得ない。

また、昨年4月の調査が不十分であったことに加え、平成17年1月に設置した職員の相談・通報制度が十分に機能していなかったことが問題点であると考えている。

真相を徹底的に明らかにすることが重要

【江上議員】
昨年の教訓から、今回は、結論、対応を急ぐのではなく、真相を徹底的に明らかにすることです。現金と帳簿の照合だけでなく、なぜ、このような問題が生じたのか、その土壌、背景、理由をしっかりと調査する必要があります。そのことがなければ、外部委員会を作っても効果は出てこないのではないでしょうか。市長としてそこまで行う姿勢がありますか、お聞きします。

内部調査し、外部調査委員会に検証してもらう(市長)

【市長】
一刻も早く市民の信頼を回復するため、まず、全市を挙げて徹底した実態解明を行った上で、背景・原因についても究明し、再発防止策を講じたい。このため今回設置しました内部調査チームにより実態解明に向けた徹底的な調査を進める中で、背景・原因についてもしかり把握したい。その上で、外部調査委員会に客観的な立場から検証してもらい、実効性のある再発防止策につなげたい。

内部調査チームの編成に偏りがないか

【江上議員】
名古屋市の内部調査チームの編成について、発表されたチームは、部長級を班長に、8班作られ、そのうち、7班は、区役所関係の調査に充てられています。本庁だって、あるのではないか、外郭団体を使っていないか、など、疑問の声があります。調査は本庁にももっと力を入れる必要があります。最初から、区役所関係だけに目を向け、全容解明になっていないのではないでしょうか。もっと本庁関係も調査体制を組む必要があります。いかがお考えでしょうか。

外部調査委員会

委員
市橋克哉 (名大教授 職員倫理審査会会長)
加藤明司 (公認会計士 職員倫理審査会委員)
  斎藤 勉 (弁護士 コンプライアンス・アドバイザー)
専門調査員
  大島嘉秋 (公認会計士)
  水野泰二 (弁護士)

内部調査チームの編成

名称
調査事項
責任者(班長)
1 会計室、総務局職員部班
  会計室、総務局職員部班 全局室の事務処理状況及び調査状況の確認 会計室次長
総務局職員部長
2 区役所事務所管部署班
  選挙事務 全区役所の事務処理状況及び調査状況の確認 選挙管理委員会
事務局次長
農政事務 緑政土木局参事(農政)
まちづくり推進・市民事務 市民経済局
地域振興部長
教育委員会事務局 生涯学習部長
税務事務 財政局主税部長
保険年金事務 健康福祉局
生活福祉部長
保健所事務 健康福祉局健康部長

本庁関係も含め、全庁的な調査を精力的に進める(市長)

【市長】
内部調査チームは、全市を挙げて徹底した実態解明を進めるために設置したもので、本庁、区役所、その他の公所の区別なく、全庁的な調査を進める体制をとっている。

これまでの調査実績をふまえ、区役所については、不適正な会計処理による保管金が判明したため、当該業務に精通した所管局ごとの調査班を編成している。

本庁を始めその他の公所についても、徹底した調査を進める必要があるため、各局室による調査に加え、会計室と総務局による調査班を編成する体制としている。

今後とも、本庁関係も含め、全庁的な調査を精力的に進め、全容解明につとめていく。

全力を尽くせ(要望)

【江上議員】
いわゆる裏金問題について、市長の昨年の反省も踏まえ、先頭に立って、真相究明に全力を尽くすことを要望します。

後期高齢者医療制度における市民負担の軽減について

現在無料の人の大幅負担増に対応せよ

【江上議員】
来年4月からの後期高齢者医療制度の導入で、保険料が先日広域連合議会で議決されました。国の平均6200円に対し、県では、平均7767円と1.25倍になっています。また、年金年168万円の単身の方で、現在の国民健康保険料より3倍にもなるひどいものです。この制度は、年金から天引きされるとか、天引き以外の方で滞納があると今は75歳以上には適用されない、保険証の取り上げ、「資格証明書」の発行とか、問題ばかり出ています。9月議会で、これらの問題について、わが党の田口議員が質問しました。今日は、その中で、現在本人の保険料負担がない方への対応について質問します。

一つは、名古屋市の国民健康保険で、一定額以下の所得の75歳減免で、負担がない場合です。市民55000人の方が対象ですが、来年4月からは有料になるとし、減免は、広域連合としてしか制度化はできず、独自に市として条例で実施するのは制度的に困難であると、市の答弁がありました。もう一つは、現在社会保険の扶養家族になっていて保険料を独自では払っていない場合です。市民20000人の方が対象です。この場合は、国で保険料徴収を凍結するとしています。二つの例は、ほとんど年金額が変わらない、あるいは、同居家族の収入から見ると高いほうの方に負担がない、このような矛盾が生じます。

私は、そもそも後期高齢者医療制度から来る矛盾ですから、制度そのものを中止すべきと考えています。しかしながら、制度として進められる以上、このような矛盾を解消する施策が必要です。

そこで、お聞きします。市として、現行の国保であれば、75歳減免で保険料負担のない方に対し、後期高齢者医療制度とは別に、実質上減免制度を維持する必要があると考えます。県下の中でもそれぞれの地域住民生活を踏まえ制度がつくられてきました。市の75歳減免も大都市特有の生活環境があることから維持されてきた制度です。何らかの形で本人にとって負担増にならない方法をお考えか、お聞きします。

他の市町村との間に、不公平が生ずるので困難(局長)

【局長】
被保険者の負担軽減に関することは、広域連合の権限に属することであり、市町村が独自に軽減策を実施することは制度的にできない。

また、実質的に保険料負担の軽減を図ることは、他の市町村の被保険者との間に、新たな不公平が生ずることとなるため困難だ。

市独自の減免はできる(再質問)

【江上議員】
来年4月から、たとえば、単身で、現在、国民健康保険で75歳減免の方は、0円から年12000円の保険料を支払うことになります。一方、社会保険の扶養家族の方は、0円が続きます。私の提案は、この市民の間の不公平をなくすために求めたものです。新たな制度でなく、今ある制度を事実上維持することを求めているのです。答弁では、他の市町村の住民との間に「新たな不公平」が生ずるから、提案は困難だ、としています。しかし、市民の間の「新たな不公平」が生ずるのではありませんか。市長は、そのようにお感じになりませんか。お聞きします。

激変緩和措置終了後は公平になる(市長)

【市長】
これまでの医療保険制度の仕組の違いから保険料の負担が無かった被用者保険の被扶養者だった方も、激変緩和措置終了後は、他の方々と同様に、公平に保険料を負担することになる。

負担凍結など制度開始にあたっての一時的措置も実施されるが、それまで加入していた医療保険制度の違いに関わらず、公平でわかり易い制度とすることが、将来にわたって安心して医療が受けられる制度となるものだ。

今行っている制度くらい維持せよ(要望)

【江上議員】
今回の医療制度の矛盾は、国の責任です。制度の中止撤回を求め、その間、名古屋市が、国の悪政に追随するのではなく、75歳以上の方に今行っている制度を維持する何らかの方法を求め質問を終わります。

 

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