名古屋港管理組合議会 一般質問(3月22日) 山口きよあき議員

金城ふ頭の開発計画に関して

アウトレットモール撤退は見通しが甘かったのではないか

【山口議員】
第一に、金城ふ頭のあり方についてうかがいます。

管理組合は、総面積191万uの金城ふ頭を、交流拠点の形成が期待される地域と位置づけ、開発を進めてきました。しかし、その進めかたは、どうも行き当たりばったりの感がぬぐえません。野外コンサート場として活用し始めましたが、わずか1年、3回の使用でおしまい。誘致した結婚式場にまで大きな音が届き両立しなかったも聞きました。緑地の一角にドッグランを整備したと思ったら、そのおとなりに今度は巨大なフットサルスタジアムです。

そして「にぎわい」づくりであてにしていたアウトレットモールは撤退が決まったとのこと。民間からの提案にそのたびに飛びついては振り回されてばかりではありませんか。

そこでまずアウトレットモール撤退の事情についてうかがいます。

事業者の選定の経緯をふくめ、当局の見通しが甘かったのではありませんか、撤退の事情と組合の対応に問題はなかったのか、お答えください。

事業環境が変化したため解約した

【担当部長】
「金城ふ頭第1期開発事業」は、金城ふ頭駅前に商業・娯楽施設を一般公募した。その結果、フットサル場、結婚式場、アウトレットモール(複合商業施設)が事業者として決定され、うちフットサル場と結婚式場はすでに開業した。

アウトレットモール(複合商業施設)も、進出事業者と土地賃貸借契約を締結し、賃料も支払いも滞っておらず、また実態として現地の整地工事、建物の建築確認まで済ませていたので、実現性が高いものと判断していた。しかし、近隣に競合するアウトレット施設が開業・増床し、事業環境が変化したので、事業者が事業内容の再構築を進めていた。

本組合も、事業内容の確定を急ぐよう要請し、事業計画書の提出期限を延長するなど、事業の実現に向け配慮してきたが、平成19年1月31日までに事業計画書が提出されなかったため、土地賃貸借契約に基づき合意解除を行った。

ハコモノよりも港湾設備と緑地の整備を

【山口議員】
この金城ふ頭にこんどは名古屋市が「モノづくり文化交流拠点」、産業技術未来博物館の名称を変えただけの事業構想を発表しました。約200億円もの費用をかけて四つの施設をつくります。ものづくりではなく典型的なハコモノづくりの構想です。この種の産業博物館は、企業や経済団体がすでに自力でいくつもつくられており、あえて公的な関与を強めた施設をつくる必要はありません。

交流とにぎわいの拠点はガーデンふ頭に集中し、金城ふ頭では、むりをして商業的な開発を進めるより、本来の港湾機能を担うコンテナターミナルの整備とスタジアム建設で減らされる緑地を「環境首都なごや」の港にふさわしい規模に拡大することこそ必要と考えますがいかがでしょうか。

金城ふ頭は利用転換し、飛島ふ頭と鍋田ふ頭の2大拠点化を図る

【企画調整室長】
金城ふ頭は、親水空間を活かした緑地を拡充し、魅力ある交流拠点を形成していくことも重要だ。一方、コンテナ貨物を集中させ効率的に取り扱うことは、コストの削減や荷主サービスの向上に大きく寄与する。

非効率な荷役形態となっている金城ふ頭を利用転換し、飛島ふ頭と鍋田ふ頭において、2大拠点化を早急に図っていくことが重要である。

大型公共事業による財政負担の増大と県・市の負担について

本組合の借金はいくらになり、市はどれだけ負担するのか

【山口議員】
次に、大型公共事業による財政負担に関連して数点うかがいます。

いま夕張市をはじめ自治体の財政破綻が各地で深刻な問題になっています。とくに公共事業のための公債、組合債の発行をはじめとする各種の借金がふくれあがったことが自治体の財政破綻の大きな要因のひとつであることはまちがいありません。

さて2006年度末の名古屋港管理組合の組合債残高は、10年前の約1.6倍、1350億円の見込みとなり、これは一般会計の約3.3倍にもなります。ちなみに名古屋市の市債残高は一般会計で2007年度末には約1兆8千億円、一般会計の1.87倍です。公債依存度は名古屋市では約8.7%ですが、本組合では23%、これはかなり深刻な数字です

もちろん自治体と言っても一部事務組合と一般の自治体ではその性格と役割には大きな違いがあります。しかし借金に頼り、大型公共事業をおしすすめた結果はどうでしょうか。

港湾施設は整備されましたが、入港料や荷さばき地の使用料などの組合独自の収入は、10年間で2割以上の減収になっており、ますます借入金に依存する経営体質になっているのではないでしょうか。将来にわたる財政負担はどうなるのか、本組合の名で借り入れたお金のうち少なくない部分は、県市の負担金で返していくルールになっています。

わが党はこれまでも、大水深バースを三つもつくるのは過剰な投資になる、と指摘してまいりましたが、新年度からはいよいよ飛島ふ頭南側のターミナル建設のための借入金の償還が始まります。

そこで何点かうかがいます。

飛島南側ふ頭の整備のために、いまどれだけの借金を背負っているのか、また3バースの完成までにはどれだけ借金を増やすのかお答えください。

次に、その償還のために、県市負担金をどの程度、あてにしているのでしょうか。大型事業を見直し、公債残高を減らそう、という時に、名古屋港への県市負担金が自動的に膨れ上がっていくのではないかと私は危惧します。明確な見通しを示してください。

大水深バースでの借金は450億円で、市県の負担は毎年8億円

【総務部長】
飛島ふ頭南側大水深コンテナターミナルは、スーパー中枢港湾のモデルバースとして、3バースの整備を予定している。全体の起債総額は、約450億円を予定し、県市負担金は、毎年度8億円ほどと見込む。

アジア貿易の拡大にあわせた鍋田ふ頭の整備・拡充を

【山口議員】
必要な港湾整備にも優先順位があると思います。飛島の大水深バースよりも、アジアとの貿易が活発になっており、施設の稼働率も限界に近い、鍋田ふ頭の整備が優先されるべきだと考えます。昨年は同時に整備したいと国に予算要望したようですが、両方とも予算がつきませんでした。多くの港湾関係者にとっても緊急に整備が求められるのは鍋田ふ頭ではありませんか。お答えください。

飛島埠頭の貨物も増えている

【建設部長】
中国を中心とした近海航路貨物を取扱っている鍋田ふ頭の早期整備・拡充の重要性は、十分認識している。一方、基幹航路貨物を中心として取扱っている飛島ふ頭も、貨物が伸びており、引続き、ものづくり中部の物流を強力に支援するため、未整備となっているバースを早期に整備していく必要がある。

近海航路貨物に対応した整備を〈再質問〉

【山口議員】
アウトレットモール撤退への反省の弁はありません。飛島ふ頭南側の大水深バースづくりは、国の直轄事業とはいえ、本組合は大きな負債、450億円を背負い込みます。県市負担金は毎年8億円ほどの見込みと言いましたが、総額では起債総額の半分近い200億円は県市の負担になると思います。名古屋市の負担は約100億円です。ものづくり構想や本丸御殿などのプロジェクトの匹敵する大きな金額です。公債比率を下げ、県市の負担もこれ以上増やさぬような港湾整備計画にすべきです。

金城ふ頭ではいまも年間15万ものコンテナを扱っています。私は、既存のターミナルの改修で今後とも金城ふ頭を十二分に活用すべきだと考えますが、あなた方があくまで金城ふ頭の再開発を進めるというのなら、飛島ふ頭南側の基幹航路用のターミナルと、鍋田ふ頭のコンテナターミナルと、どちらを優先すべきか、いっそう明白です。

金城ふ頭で扱う貨物のほとんどが中国など近海航路からのもの。水深マイナス16mの岸壁を必要とする船はありません。大型公共事業は抜本的に見直すべきですが、少なくとも「あれもこれも」ではなく、優先順位をつけて計画的・効率的にすすめるべきです。

金城ふ頭の現状と開発についての答弁を聞いてもう一度うかがいます。飛島の大水深バースよりも近海航路用となる鍋田ふ頭の整備を優先させるべきではありませんか。回答を求めます。

どちらも重要

【建設部長】
近海航路貨物に対応した整備は、急増する近海航路の貨物に対応するため、新たなバースの整備が強く望まれる。中国・近海航路貨物は鍋田ふ頭、一方、飛島ふ頭は基幹航路貨物を中心に取扱うコンテナターミナルとして、2大拠点化を進めていくなかで、未着手のバース整備の早期実現化は非常に重要である。

現状を十分把握した上、適切な対応を図っていく必要がある。

過剰な整備は禍根を残す(意見)

【山口議員】
現状を十分に把握した適切な対応とは、いったい何のことでしょうか。

スーパー中枢港湾は伊勢湾として受けた指定です。四日市港の大水深バースは十二分に活用されているのでしょうか。伊勢湾全体を見渡して、過剰にならない必要なだけの港湾整備を進める必要があります。

無駄な大型公共事業とのそしりを受けないように、「適切な対応」を求めてます。

名古屋港の環境、とくに大気汚染について

ディーゼル車の流入が増えているが大気汚染の現状についての認識は

【山口議員】
最後に名古屋港の環境問題について、今日は大気汚染にしぼって数点うかがいます

まず現状認識です。コンテナをはじめ貨物が増えれば増えるほど、名古屋港への車の流入は増加してきます。とくにデーゼル車両が多いということもあり、大気汚染の状況は、深刻だと思います。

コンテナ貨物の増大に対応し、臨港地区への流入車両はどのように増えているのか、そして名古屋港とその周辺の大気汚染はどうなっているのか、現状認識をうかがいます。

大気汚染より渋滞が問題だ

【部長】
名古屋港で取り扱うコンテナ貨物量の増大に伴い、大型車をはじめとする交通量は増加していると思われるが、名古屋港周辺地域の大気測定局の観測データの推移では、自動車から排出される窒素酸化物等の観測値は横ばい状態だ。

一方、飛島ふ頭周辺は、交通の渋滞が問題になり、臨港交通体系の強化や、渋滞緩和に向けた取り組みを行っており、これにより、大気環境への負荷軽減にもつながる。

新たな環境計画の位置づけはどうなっているのか

【山口議員】
昨年6月の質問でも私はこの環境問題をとりあげました。その時「みなさんがたてた港湾環境計画では、大気汚染についての現状も改善目標も数値がはっきりしない、抽象的な計画だ」と指摘しました。答弁では「いま新しい計画を策定している最中」と言うことでした。

現時点での、新しい環境計画の策定状況はどうなっていますか、また私は、名古屋港がバランスよく発展していくためには、この大気汚染対策をふくむ環境問題を、名古屋港の全体計画のなかにしっかり位置づけていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

来年度改訂予定の港湾計画に環境の整備などを盛り込みたい

【部長】
今年度策定される名古屋港の新基本構想は、将来目標を「きらめき愛される港」とし、環境分野では「良好な港湾環境の形成」を基本目標として、「環境にやさしい港」を目指している。これを踏まえ、来年度改訂を予定している港湾計画において、環境の整備、保全のさらなる推進の観点から、港湾環境計画に代わり、その内容を港湾計画に取り込んでいく。

環境基準の適用からは除外されているが、大気に境界はない。対策・改善を

【山口議員】
私は、この質問を準備するなかで新しく知ったことがあります。それは、この議場をふくめた臨港地域は、国が定めた二酸化窒素などの環境基準が適用されない治外法権の地域だということです。もちろん国の環境基準より厳しい名古屋市の環境目標の達成も何ら義務づけられていません。

しかし大気に境界はありません。臨港地域と住宅地の境界には大型車がたくさん通る幹線道路はありますが、汚染の拡散を防ぐ壁はありません。

そこで名古屋港とその周辺地域の大気汚染をチェックし、環境を改善するために以下数点を提案します。

第一に、住宅と近接した臨港地区や境界にもぜひ大気汚染の測定局を設けていただきたい。港区の築地口や大手(築三町交差点)や野跡(汐止町交差点)、飛島村のインターチェンジや梅之郷交差点などにはどうしても必要です。

第二に、環境計画のなかに、環境基準だけでなく名古屋市の環境目標のクリアをはっきり目標として位置づけることです。二酸化窒素がこの環境目標0.04ppmをクリアできれば、ぜん息の子どもの発症率が下げられるという調査結果もあるのですから、名古屋港が環境問題を意識するのならぜひこの高い目標を計画に位置づけていただきたいと思います。

第三に、名古屋港を利用し大気汚染をふくむ環境悪化に大きな責任を持つトヨタなど自動車メーカー、公害の被害者と地域住民、そして本組合・県・市とで対策を協議し大気汚染の状況を監視し、具体的な改善策を話し合う場をぜひ設けていただきたい。

県・市と話し合う

【部長】
ご指摘の点につきましては、今後、県・市と話し合ってまいりたいと考えております。

実態を正確に把握し、環境保全を(要望)

【山口議員】
名古屋港は「環境にやさしい港」をめざす、港湾計画に環境問題を取り込み、港の新基本構想を策定するとの答弁をいただきました。環境問題をいままで以上に重視する姿勢はある、と受け取らせていただきます。

しかし現状認識や改善策になると、「交通体系の強化」と「渋滞緩和」としか答弁がないじゃありませんか。

大気汚染の測定は「名古屋南部公害訴訟」の和解条項に基づき、国道23号の沿線でも数ヶ所、観測されるようになりましたが、環境基準の上限0.06ppmでさえ5ヵ所中2ヶ所でいまだクリアしていません。しかも、ぜん息の子どもは増え続けています。

藤前干潟を「環境首都名古屋」と「環境にやさしい港」名古屋港の象徴としてピーアールするのは大いに歓迎しますが、同時に、この地域が大気汚染の大きな発生源になっていることをしっかり自覚していただきたい。

大気汚染の分野でも、まず臨港地区とその近隣での現状をきちんと把握し直し、そのうえで達成すべき目標と期限を明確にした実効性ある港湾計画を策定するよう、強く要望します。

 

一般会計 歳入
(千円:%)
歳入科目 2007年度 2006年度 対前年度比較
予算額 構成比 予算額 構成比 増△減額 伸率
分担金及び負担金 9,691,926 28.0 9,170,379 26.6 521,547 5.7
使用料及び手数料 7,209,610 20.8 7,205,242 20.9 4368 0.1
国庫支出金 1,043,100 3.0 1,303,600 3.8 △260,500 △20.0
財産収入 4,755,374 13.7 4,677,477 13.6 77,897 1.7
寄附金 10 0.0 10 0.0 0 0.0
繰入金 529,000 1.5 622,000 1.8 △93,000 △14.9
繰越金 400,000 1.2 400,000 1.2 0 0.0
軍収入 1,566,480 4.5 1,566,792 4.5 △312 0.0
組合債 9444,500 27.3 9,524,500 27.6 △80,000 △0.8
合計 34,640,000 100 34,470,000 100 170,000 0.5
【県市負担金の内訳】
(千円:%)
区分 2007年度 2006年度 対前年度比較
予算額 構成比 予算額 構成比 増△減額 伸率
港湾施設整備 8,056,036 23.2 7,653,815 22.2 402,221 5.3
臨港鉄道金城ふ頭線 677,964 2.0 690,185 2.0 △12,221 △1.8
8,734,000 25.2 8,344,000 24.2 390,000 4.7
一般会計 歳出
(千円:%)
歳出科目 2007年度 2006年度 対前年度比較
予算額 構成比 予算額 構成比 増△減額 伸率
議会費 158,784 0.4 166,378 0.5 △7,594 △4.6
総務費 6,051,297 17.5 5,379,725 15.6 671,572 12.5
企画調整費 1,181,915 3.4 979,292 2.8 202,623 20.7
港営費 3,560,355 10.3 3,497,017 10.2 63,338 1.8
建設費 11,122,649 32.1 11,795,588 34.2 △672,939 △5.7
公債費 12,535,000 36.2 12,622,000 36.6 △87,000 △0.7
予備費 30,000 0.1 30,000 0.1 0 0.0
合計 34,640,000 100 34,470,000 100 170,000 0.5
【企画調整費及び建設費の内訳】
(千円:%)
区分(科目) 2007年度 2006年度 対前年度比較
予算額 構成比 予算額 構成比 増△減額 伸率
補助・直轄事業 (企画調整費) 131,100 0.4 48,300 0.2 82,800 171.4
(建設費) 7,062,100 20.4 7,941,800 23 △879,700 △11.1
7,193,200 20.8 7,990,100 23.2 △796,900 △10.0
起債事業(建設費) 934,000 2.7 842,000 2.4 92,000 10.9
単独事業 (企画調整費) 1,050,815 3.0 930,992 2.7 119,823 12.9
(建設費) 2,976,149 8.6 2,826,588 8.2 149,561 5.3
4,026,964 11.6 3,757,580 10.9 269,384 7.2
受託事業(建設費) 150,400 0.4 185,200 0.5 △34,800 △18.8
12,301,564 35.5 12,774,880 37 △470,316 △3.7

 

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