議案外質問(2006年11月28日)田口かずと議員

学校におけるいじめ問題について―教育基本法改定にもふれて―

田口議員

早期発見・早期対応が大事

【田口議員】
学校におけるいじめ問題について、教育基本法の改定にもふれながら質問します。

いじめによる子どもの自殺が全国で相次いでおり、心を痛めていない国民はいないと思います。いじめへの対応で大事なことは、早期に発見し、教師集団が一致協力して解決にあたることです。本市の教育委員会が11月2日に発表した「緊急アピール」でも、「いじめは『どの学校でもどの子にも起こり得る』という認識をもって、……早期発見・早期対応に努めること」を訴えています。

それではなぜ、早期発見・早期対応がなされずに、自殺にまで至る悲劇が相次いでいるのか。いじめの実態が隠されていた背景には、いじめの件数が多いか少ないかで学校と教師を評価するという現実があるのではないでしょうか。いじめ自殺が起こった福岡県の中学校では、事件後、この数年で7、8件のいじめがあったことが明らかになっていますが、報告では「ゼロ」となっていたといいます。

本市の場合はどうか。教育委員会の事業の一つに、いじめ・問題行動等防止対策事業というのがあります。この事業の「行政評価」では、成果指標として「いじめ・暴力行為の発生件数」が設定され、年間700件という数値目標が掲げられています。いじめや問題行動等の発生件数がこの目標を下回れば、この事業は高い評価を受けることになるのです。しかし、いじめは、どの学校でもどの子にも起こり得るものなのです。それにもかかわらず、その発生件数を数値目標に掲げて達成をめざそうとすると、いじめの実態が隠されてしまうのではないでしょうか。

そこで、教育長に伺います。本市では、いじめの件数が多いか少ないかで学校と教師を評価するような実態はないといえるのか。また、いじめの早期発見・早期対応のためには、いじめ・問題行動等防止対策事業の成果指標にいじめ等の発生件数を掲げることはやめるべきではないのか、お答えください。

いじめの件数だけを学校評価の指標にはしていない(教育長)

【教育長】
行政評価で成果指標としているいじめ等の発生件数は、いじめ等の被害を受けた児童生徒の人数であり、教育委員会としては、もう一つの成果指標であるいじめの解消率を上げることと併せて、いじめられる子を減らすことを目指している。学校全体で「いじめは絶対許さない」という土壌をつくるために進めているものであり、学校評価の指標とは考えていない。

競争教育とストレスがいじめの温床

【田口議員】
いじめはどうして起きるのか。それは、子どもの規範意識や道徳心だけで説明がつく問題ではないと思います。子どもたちが耐えがたいストレスにさらされていて、そのはけ口をほかの子どもに向けてしまう。ここにいじめの温床の一つがあるのではないでしょうか。

子どもがストレスにさらされている原因は様々あると思いますが、学校教育のうえでは、子どもたちを競争に追い立てる教育制度に原因があると思います。国連子どもの権利委員会による2度にわたる日本政府への勧告のなかでも、「極度に競争的な教育制度によるストレスのため、子どもが発達のゆがみにさらされている」と厳しい批判が寄せられているのです。

ところが政府は、教育基本法を改定して、全国一斉学力テストをやって公開したり、学校選択制を全国に拡大しようとしています。教育基本法が改悪されたら、競争教育がますますひどくなるでしょう。

そこで、市長に伺います。競争教育が子どもに強いストレスをもたらし、それがいじめの温床になっているという認識をお持ちでしょうか。また、教育基本法が改定されたら、競争教育が激しくなり、いじめなど教育の荒廃をいっそうひどくするのではないでしょうか。

教育基本法改定の有無にかかわらず、いじめへの対応は喫緊の課題(市長)

【市長】
いじめは、競争によるストレスだけでなく、少子化によって兄弟間での葛藤がなくなったり、地域で群れて遊んでいた子どもが、室内に閉じこもってゲームで遊ぶようになって仲間意識が希薄になったりして、人間関係を円滑にするコミュニケーション能力が不足してきたことなど、様々な要因が複合的に絡み合って発生しているものと考えられる。

一方、学校における集団生活の中での子どもたちの切磋琢磨、友人関係における心の葛藤は、子どもたちの心の成長に必要な協調性や忍耐力などを生み出す上でも不可欠であると考える。

教育基本法は理念を定めた法で、直ちに競争に結びつくものとは考えていないが、教育基本法改定の有無にかかわらず、学校におけるいじめ問題への対応は、喫緊の課題と認識しており、大人たちが、子どもたちとの日常的なつながりを築き、子ども同士の交流の中で生じる喜びや悩みを、温かく受けとめていくことが大切であると考えます。同時にいじめる側にもその心の奥底にあるものをよく見て厳しく指導することが必要かと思います。学校は本来の役割である、できないことをできるようにすることに全力を傾注することができるようになる事が大切であり、市としてはその条件整備に全力をつくす。

長期未整備公園緑地「相生山緑地」について

緑地の役割と現状をどう見ているのか

【田口議員】
長期未整備公園緑地である相生山緑地について質問します。

天白区にある相生山緑地は、1940年に都市計画決定されたものの、約123ヘクタールのうち用地取得率が44%と、広大な民有地が存在している長期未整備の緑地です。しかし、長期未整備であっても、この緑地は、重要な役割を果たしていると思います。

環境という点では、名古屋市内で数少ないまとまった樹林地であり、ヒートアイランド現象の緩和などで役立っています。ヒメボタルの有数の生息地であり、オオタカの目撃情報もあるなど、貴重な自然環境が残されています。

防災という点では、この緑地の西側には東海豪雨災害で甚大な被害を受けた野並地区が位置しており、雨水貯留機能を持つ緑地として、その保全は、雨水災害を抑制するうえできわめて重要です。

しかし、地下鉄6号線の野並から徳重までの延伸にともない、その延伸路線に南端を接する相生山緑地にたいして、宅地開発の圧力が高まる可能性があり、私はたいへん危惧しています。緑地内の住民の方から、「2〜3年前から、『アパートを建てたいので、土地を売ってくれ』という電話が不動産屋からかかってくるようになった」という話も聞きます。

そこで、緑政土木局長に伺います。長期未整備公園緑地である相生山緑地の役割について、どのように評価されているのか。また、現状のままでは、さらに樹林地が減少しかねないという認識をもっているのか、お答えください。

生物多様性の保全などで重要な役割(局長)

【緑政土木局長】
相生山緑地は都市における緑の骨格となる公園緑地であり、ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の保全など都市環境の改善に寄与し、災害時の避難地や雨水の浸透や貯留機能など都市防災への貢献のほか、また市民のレクリエーションの場などの重要な役割を果たすべきものと考えている。

これまでも用地取得に努めるとともに、オアシスの森づくり事業により土地所有者の協力を得て土地を借地し樹林地の保全に努めてきた。しかし、公共事業への投資に対する厳しい制約で、用地の取得が思うように進める事ができず、対応に苦慮している。

宅地開発を規制せよ

【田口議員】
相生山緑地での宅地開発は、すでに現実のものとなっています。

この緑地の一部区域は、1970年に事業予定地に指定され、既存住宅の増築や建て替え以外の建築は許可されず、その場合には名古屋市が土地の買い取りに応じてきました。ところが、この事業予定地内で、昨年秋から、樹林地を切り開いて、約2000平方メートルに及ぶ宅地造成工事が行なわれたのです。現在、造成された土地では、7区画の宅地が分譲されており、すでに新築の家が3軒建っています。相生山緑地の事業予定地内でのこのような大規模な宅地開発は、今回が初めてです。

今まで、土地所有者にたいして建物の新築を許可してこなかった名古屋市が、どうして新築を認め、しかも7区画におよぶ宅地造成を許可したのか。緑地の中の町内の人たちからは、怒りや疑問の声が噴出しました。

今回の開発許可の背景には、土地所有者からの土地の買い取りの申し出に、予算の削減によって即時に対応できないという事情もあるようです。

しかし、今後もこのような宅地開発を許可していけば、相生山緑地の貴重な樹林地が虫食い状態になってしまうではありませんか。それは、事業予定地という指定を受けたために、建築制限によって生活設計が立てづらくなっても、それを長年耐え忍びながら、この緑地の緑を守ってきた方々の努力を裏切るものだといわなければなりません。

相生山緑地の事業予定地内において、今回の宅地開発を許可したのは、いかなる理由からなのか。また、今後は、このような宅地開発を許可すべきではないと考えますが、住宅都市局長の答弁を求めます。

許可せざるを得ない(局長)

【住宅都市局長】
都市計画法で、都市計画施設の区域内での建築の際は、あらかじめ許可を受けなければならないが、除却が容易であることなどの基準を満たしていれば許可しなければならない。

今回の許可は、こうした基準を満たしており、事業予定地の制度上、許可しなければならない。今後も、同様の状況なら、許可せざるをえない。

整備方針の策定で保全を急げ(再質問)

【田口議員】
再質問します。緑政土木局長は、相生山緑地の役割について高く評価され、「樹林地の保全に努めてきた」と答弁されました。ところが、現実には大規模な宅地開発が行なわれ、しかも、住宅都市局長は、今後も、開発を許可せざるをえないと答弁されました。一方では、貴重な樹林地だから保全しなければならないといいながら、もう一方では、開発を許可していく。矛盾しているのではないですか。相生山緑地の樹林地を保全するというのなら、そのための方策をはっきりと示していただきたい。

緑政土木局長は、予算が削られて用地取得が思うように進められず、苦慮していると答弁されました。しかし、この点では、先日、緑の審議会が出した長期未整備公園緑地についての「答申」のなかで、土地所有者からの買い取りの申し出にたいして、そのすべてに「ただちに対応することは、市の財政上困難」だけれども、「開発のおそれのある樹林地等において緊急に対応すべき土地に限定して買い取るべきである」と提言されています。

そこで、塚本助役にお尋ねします。相生山緑地の樹林地が、さらに減少することのないようにするために、緑の審議会のこの答申も踏まえて、相生山緑地の整備方針を早急に策定する必要があるのではないでしょうか。お答えください。

借地や先行取得などで既存樹林地の保全につとめる(助役)

【塚本助役】
相生山緑地など市内の樹林地は減少傾向にあり、その保全に大変苦慮している。

11月20日、長期未整備公園緑地への対応について、緑の審議会から容申をいただいた。答申は、計画区域内にまとまった樹林地等が存在する公園緑地については、借地や先行取得などにより、できる限り既存樹林地を保全すべきとしている。こうした指摘は、大変重要なことと認識しており、今後、本市としての整備方針を取りまとめる中で、相生山緑地の樹林地についても保全に努めたい。

宅地開発を許可したことは大きな汚点(意見)

【田口議員】
答弁にありましたように、相生山緑地の樹林地を保全するための整備方針を早急に策定していただきますよう要望します。ただ、それならなぜ大規模な宅地開発を許可されたのか。今回の開発許可には、予算がなくて対応できなかったという事情以外の話も、私の耳に入ってきています。樹林地を保全していくという緑の審議会の答申が出される前に、樹林地を切り開く開発を許可された。これは、大きな汚点を残したということを申し上げておきます。

知的障害児施設「あけぼの学園」と知的障害者施設「希望荘」の改築について

あけぼの学園と希望荘の改築は緊急課題だ


あけぼの学園(天白区)


希望荘(天白区)

【田口議員】
知的障害児施設「あけぼの学園」と知的障害者施設「希望荘」の改築について質問します。

市長は、あけぼの学園と希望荘を訪ねたことがありますか。なければ、一度訪ねてみてください。昭和30年代から40年代にかけて建てられたこの2つの施設が、いかに老朽化が進んでいるかがわかると思います。

私は最近、この2つの施設を訪ねて建物の様子を見てきました。そのとき撮った写真をお見せします。これは、あけぼの学園の中の写真ですが、何の写真かわかりますか。天井にタライがくっ付いていて、そこからホースが窓の外にたれている。天井が裂けていて雨漏りがするので、タライで雨水を受けて、ホースで外に流しているのです。昭和30年代半ばに建築された作業棟の写真です。

もう一つ、こちらは希望荘です。渡り廊下の写真ですが、ごらんのように階段があります。こうした階段が、希望荘の中にはあちこちにあって、車イスの利用者が4名いるそうですが、食堂などへ移動するときに、大変苦労されているそうです。他にも、4人部屋で個室がない、ショートステイ専用の部屋もない、部屋の建具の不具合、などあげたらきりがありません。

このように老朽化が進んでいるあけぼの学園と希望荘の改築は喫緊の課題であり、だからこそ、『名古屋新世紀計画2010』では、「改築を行ないます」と明記されているのです。それにもかかわらず、具体的な改築計画はいまだ明らかにされていません。

そこで、子ども青少年局長および健康福祉局長にお尋ねします。あけぼの学園および希望荘の改築について、その必要性と緊急性をどのように認識しているのか。改築に向けてどのようなスケジュールを考えているのか、お答えください。また、改築にあたっては、現在の入所者が、行き場所を失うようなことは絶対にあってはなりません。このことを大前提にして改築計画を策定すべきだと考えますが、両局長の見解を求めて、私の第1回目の質問を終わります。

必要な修繕には速やかに対応(局長)

【子ども青少年局長】
あけぼの学園は、耐震診断の結果は耐震対策が必要とされた建物はないが、施設全体として老朽化は進んでおり、また児童処遇の改善という観点からも整備の必要性は認識している。他の福祉施設の整備計画も勘案し、検討していく必要がある。

なお、緊急に対応が必要な修繕などにつきましては、速やかに対応したい。

今後の整備に向けたスケジュールは、障害者自立支援法の試行に伴い、今後3年を目途に施設体系の再編等について検討を行うという国の検討状況や本市の公の施設のあり方検討の状況も勘案し、具体的なスケジュールを検討していきたい。

あけぼの学園では、障害が多様化、重度化し、強度の行動障害など、処遇困難な入所者が6割を超え、そうした障害のある方を受入れることができる成人の施設が限られているので、児童福祉法の特例的な対象者である18歳以上の入所者、いわゆる年齢超過児の割合が年々高くなっている。施設の整備にあたっては、こうした年齢超過児の処遇も含め、現に入所している方々が行き場所を失うようなことがないよう、検討したい。

 

改築が必要なので、具体的な改築のスケジュールを検討する(局長)

【健康福祉局長】
希望荘の耐震性は診断の結果、耐震対策の必要性はないが、施設全体の老朽化は進んでおり、毎年必要な修繕を行い対応している。建物が傾斜地に立地しているから、棟と棟との間に階段があり、入所者の平均年齢が約50歳で、60歳以上の方が14名、17%を占め、入所者の高齢化が進んでおり、施設利用にあたって支障が生じており、こういった課題を解決するためには施設の改築をする必要がある。

希望荘は、障害者自立支援法による新制度の施設になり、施設の内容を大きく変えていくことが求められており、地域での生活へ移行する方向が示され、5年間で比較的障害程度区分の軽い方を中心に、地域移行を進める必要がある。

そのためには、グループホームが不可欠で、グループホームを持たない希望荘が、入所者の地域移行に向けて、どう取り組んでいくかが大きな課題です。

入所者が行き場を失うようなことがあってはならないことであり、改築にあたっては施設のハード面だけでなく、利用者のニーズに応じた適切な対応をするためには、どういった運営のあり方が望ましいのか検討したい。

同時に、本市の公の施設のあり方の検討状況も勘案し、具体的な改築のスケジュールを検討したい。

老朽箇所は直ちに改善を(要望)

【田口議員】
あけぼの学園と希望荘の改築について、両局長は、それぞれの施設の改築の必要性についてはお認めになりました。ただ、改築まで待てない老朽箇所が少なくありません。答弁にもありましたが、緊急に対応が必要な修繕などについては、すみやかに対応していただくことを要望しておきます。

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