議案外質問(11月28日) 山口きよあき議員

介護保険の利用料補助を
自立支援法で負担増にするな
秘密協定のボートピアはいらない

介護保険の利用料補助制度の新設について

【山口議員】
今月、介護保険の利用者に10月分の請求書が届きました。食費や居住費が保険給付からはずされて初めての請求書です。あまりの金額に驚いた方が少なくありません。

特に深刻なのは老人保健施設です。国の低所得者対策ではカバーできない負担区分第4段階(市民税課税世帯)の方が入所者の約6割を占めますが、その方々の負担は、平均で月6万円代から10万円前後になりました。年間で約50万円もの負担増です。ある家族は「やっと入所できたのに、いつまで払い続けられるか。年金も給料も増えないのに毎月10万円はきつい」と話してくれました。

施設側でも「こんな請求金額で払ってもらえるだろうか?」「利用をやめると言われないか」と悩んでいます。しかも保険給付が減り、老健施設の収入は100床規模の全国平均でマイナス4.2%、年間1800万円もの減収です。利用者や職員へのしわ寄せが懸念されます。

在宅サービスであるデイサービスやショートステイでも、食費などが自己負担になりました。1食あたり約200円の負担増ですがジワジワ家計に響きます。

一方、国の負担軽減制度である社会福祉法人減免の利用者は、全市でたった324人。しかも市内で2千を超える介護事業所のうち社会福祉法人は、わずか15%です。

「ショートをやめて、デイだけにする」「施設から引き取り家でみる」という声も増えており、このままでは介護の社会化どころか再び家族介護に逆戻りです。

9月定例会で、局長は「市の給付額は今年度5ヶ月で15億円減るが、市独自の対策は行うつもりはない」と冷たく答えました。

健康福祉局長にうかがいますが、いまもこの認識のままですか。10月改訂による負担増の実態をどう把握していますか、そして国の減免制度だけではまったく不十分であり、本市独自の利用料補助制度が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

減免する気はない(局長)

【健康福祉局長】

制度の枠内でやるもので、市独自の軽減はしない。

相変わらずの冷たさだ(意見)

【山口議員】
9月定例会と変わらぬ冷たい答弁でしたが、この問題は引き続き、委員会の審議で徹底して追及していきたいと思います。

障害者自立支援法への本市の対応について

認定区分に当事者の意見反映を

【山口議員】
成立した障害者自立支援法には、「必要なサービスが提供されるのか」「1割負担で、負担増が心配」などの不安がいまだに寄せられています。

自立支援法の原則である応益負担=定率1割負担は、サービス利用が多ければ多いほど、言い換えれば障害が重ければ重いほど、負担が重くなります。低所得者対策には、本人だけでなく世帯単位で収入を認定する仕組みが導入され、家族への気兼ねがかえって障害者を苦しめます。さらに授産施設に通うと、働いて受け取るわずかな工賃よりも施設に払う利用料の方が多くなるなど、問題山積です。このままでは、自立支援どころか障害者の社会参加自体が困難になります。法の施行をいったん凍結し、関係者の声を聞き、慎重に施策を進めることが必要です。

健康福祉局長には、市独自の対応が可能な問題に限って質問します。第一に障害の認定区分の問題です。自立支援法では、介護給付について新たに6段階程度の障害認定区分をしますが、本市のモデル事業では、コンピューターの一次判定と、審査会の二次判定に大きな違いが生じました。身体では31%、知的では82%、精神では87%もの認定区分が変わりました。介護保険モデルの審査では認定が低くなり、必要なサービスが認められないおそれが強いのです。

そこでうかがいます。認定審査会に障害当事者や家族・施設職員を委員として加えるなど、関係者の意見をしっかり支給決定に反映させる必要があると考えますが、いかがでしょうか

関係者の意見反映に努める(局長)

【健康福祉局長】
福祉サービスの支給決定には障害程度や当事者の意向を勘案する。審査会委員には当事者の意見も反映できるよう委員を選任したい。

負担が急増する障害児の療育に支援を

【山口議員】
現在、療育センターなどで行われている通園施設事業は、児童福祉法にもとづく「措置」ですが、来年10月からは自立支援法に準じて「契約」となり、1割負担が導入されます。一方で、同じセンターの「発達相談」や「療育グループ」の活動は原則無料、「診察・診療」には医療費無料制度が使えます。そのなかで通園施設事業だけが1割負担になり、食事代実費負担も加わり、1ヶ月2万円以上の負担になってしまいます。

乳幼児については、わが子の障害を受容しきれず悩む親も少なくありません。そんな保護者に、機械的に障害児としての契約を結ばせることが適当ですか。

また若い親たちは経済的にも弱い立場にあり、さらに通園療育になれば、両親どちらかが仕事をやめざるをえないことが多いのです。重い負担と機械的な契約制度の導入は、大切な療育の機会を失わせかねません。

現在、乳幼児の療育は、原則無料または親の所得に応じた負担です。乳幼児の発達段階と、親の精神的・経済的負担を考えるとき、この分野では自立支援法とは異なる負担のあり方が必要と考えますが、いかがでしょうか。

制度の枠内で対応するものだ(局長)

【健康福祉局長】
通園事業も定率負担になる。制度の枠内で対応する。全国一律に行うものだ。

精神障害、精神医療の負担軽減を

【山口議員】
自立支援法では3障害をまとめて、制度を一本化し、医療制度も自立支援医療に統一されましたが、精神医療には独自の問題があります。

精神障害者は近年激増し、本市の精神保健手帳保持者は99年(平成8年)の2327人から04年(平成16年)には7382人と8年間で3.1倍です。加えて手帳がない潜在的な精神障害者も相当数にのぼると推計され、「うつ病」「統合失調症」「各種の神経症」などの精神疾患は、働き盛り世代を中心に年々増えています。

本市でも昨年から、ようやく精神障害者への医療費助成が始まりましたが、その対象者は手帳1級の方、約千人あまりと極めて限定されています。精神障害の認定には、他の障害とはまたちがう困難が伴います。障害認定よりも簡易な手続きの医療費助成が治療継続に大きな役割を果たしているのです。

現在、名古屋市の国民健康保険には、精神医療の通院医療費公費負担制度があり約6600人が利用しています。とくに病気で職場を離れた患者にとってはまさに命綱です。

自立支援法の成立によって、国保の通院公費負担制度はどうなるのか、精神を病む方が増えている時代だからこそ、精神医療費の通院助成を何らかの形で継続することが必要と考えますがいかがでしょうか。

国保の減免継続はできない(局長)

【健康福祉局長】
精神保健福祉法で自己負担5%になっていたが、10%になる。国保加入者への免除規定も根拠がなくなる。障害者医療は継続する。

治療中断が悲劇につながる精神医療(再質問)

【山口議員】
精神医療については他の障害とちがう問題があると指摘しましたが、この点を健康福祉局長はどう認識されているのでしょうか、身体・知的にはない独自の問題が精神の場合、まだまだ残っています。

基本的な対策は、精神障害への偏見をなくし、障害の認定がもっと気軽に申請できるようにし、障害の医療費助成の対象も2級、3級へと拡大していくことだと思いますが、そう簡単なことではありません。

治療中断が多くの悲劇を招いてもいます。少しでも治療が受けやすいように、いままで本市が国保で行ってきた通院費助成=精神医療付加金制度を、何らかの形で引き継ぐことは、市民の理解は得られると私は思います。精神障害への認識をふくめ再度答弁を求めます。

制度の枠内で(局長)

【健康福祉局長】
低所得者や重度の人には所得により上限があり、9割は救われる。

国のいいなりではだめだ(意見)

【山口議員】
障害者福祉も、介護保険でも、国の制度では、市民の暮らし・福祉は守れません。病気への不安・負担がかえって増えます。市民の声に耳をかたむけ、国の悪政から市民を守るのが自治体の仕事です。障害者や高齢者を守る独自の福祉施策を進めるよう強く要望して質問を終わります。

場外舟券売場に関する協定について

秘密協定や特別な配慮を必要とする施設はいらない

【山口議員】
港区築地口への場外舟券売場(ボートピア)の設置について、9月30日に国土交通省から設置確認通知が出されました。結局、施設会社は、地元への建設説明会も開かず、また工事説明会すら開かないまま着工しています。

それに対し25日には、地元町内の方々から、行政不服審査法にもとづき、認可への異議申し立てと、執行停止申し立てが、国土交通大臣あてに提出されています。

さて先日発行された「築地ポートタウン21まちづくりの会」という学区広報誌の役割をもつニュースに、「ボートピア問題の総括」という文章が載りました。そこには学区連協と開発会社で結んだ協定書について「相手方等との事があり公開されることはありません」とあります。この協定をめぐっては、昨年の総務環境委員会でも議論がありましたが、公開しないではすまされません。

本年1月に、市長が常滑市などと結んだ行政協定には、「学区連絡協議会とボートピア施設会社で交わされた協定を遵守されるよう対応する」という項目がふくまれています。そこでお聞きします。

この協定書の内容は、素直に市民に情報公開すべきものではありませんか。まず総務局長におたずねします。

情報公開条例で(局長)

【総務局長】
情報公開条例で対応する。

秘密協定を守れというのか

【山口議員】
次に行政協定を結んだ市長にうかがいます。大きなお金も動く、生活環境への不安も強いギャンブル場です。市民に公開しない協定を守れというのは、市民に対しあまりに無責任ではありませんか、この点での市長答弁を求めます。

周辺への特別な配慮が要るからだ(市長)

【市長】
交通・防犯・清掃など周辺環境対策に配慮すること等を謳った協定だ。特別な配慮は市も必要だとして行政協定に盛り込んだ。

強引なやり方だ(意見)

【山口議員】
地元の協定書も市の文書として情報公開条例の対象になるとの答弁でした。市長からは「この協定は学区内の交通・防犯・清掃などの配慮をうたったものだ」という答弁がありました。そういう内容だけならば、なぜニュースでわざわざ「非公開」と書くのか、かえって市民に不安をあたえるようなものです。

市長はまた「周辺の環境への配慮が重要」な施設と言われましたが、公共的な施設ならまた別ですが、そんな配慮がいるギャンブル施設はこのまちには要らないよ、と言っているのです。

情報公開も不十分で、市民の合意と納得を得ぬまま強引にすすめるやり方では、市民の活力は引き出せず、市民が主役のまちづくりにはならないとだけ今日のところは指摘しておきます。