11月議会 議案外質問(11月29日) 黒田二郎議員

民間まかせの建築確認で安全が守れるか
介護保険の新制度移行は慎重に
病児・病後児保育の実施を

民間指定機関における建築確認・検査について

イーホームズが行った建築確認は

【黒田議員】
民間指定機関における建築確認・検査について、住宅都市局長に伺います。千葉県市川市の姉歯建築設計事務所がマンションなどの耐震性を示す「構造計算書」を偽造していた問題は、全国に波紋が広がっています。報道によれば、同設計事務所は、確認検査を行う民間機関の検査態勢がずさんなことを見越し、書類を偽造していたことが明らかになっています。この背景には、1998年の建築基準法改悪で、それまで自治体が行っていた建築確認・完了検査を国などの指定を受けた民間機関でも実施できるようにした「規制緩和」がありました。建築確認とは、建物が建築基準法にもとづく安全な設計になっているかどうかなどを検査するもので、安全の根本にかかわるチェックであります。

耐震強度の偽装が次々と明らかになっている今回の問題では、偽造された構造計算書は、精査すれば計算の食い違いは発見できたと言われています。ところが、民間の指定確認検査機関「イーホームズ株式会社」が、構造計算書の偽造を見逃していたのです。イーホームズは、国土交通省の立ち入り検査で姉歯事務所がかかわった33件以外でも、10階以上の建物のほとんどについて、実質的審査を行っていなかったことも明らかになっており、国土交通省は、事実上審査抜きが常態化している疑いがあるとみています。

この問題は、名古屋市にとっても他所事ではありません。愛知県内全域を業務区域としている指定確認検査機関の中に、問題の「イーホームズ」があるからであります。

そこでまず、伺います。名古屋市内において「イーホームズ」が、建築確認を行った実績はどうであったのか、お聞かせください。

今年の6件含め9件だ(局長)

【住宅都市局長】
16年度3件、17年度は現在6件。姉歯設計の関与はない。

民間任せの確認申請をやめよ

【黒田議員】
次に、行政は、どうか。私が当局に確認したところ、市に提出されるのは建築計画概要書だけで、構造計算の偽造までは調べられない、ということでありました。

現在の法制度と仕組みのもとでは、行政は、まったく為す術がないのです。ある新聞は、「規制緩和によって、ずさんな検査がまかり通るようになったとしたら、民間検査のあり方を含め、現在の検査体制をもう一度、見直してはどうか、必要なら建築基準法の改正も検討すべきだ」と、指摘しています。

ところで、最高裁は今年6月、「民間の検査機関が行った建築確認は、自治体が行ったものとみなすとの決定をだした」と、伝えられています。民間の検査機関による行為であったとしても、自治体が結果責任を問われるわけです。今回のような事件が繰り返されないためにも、建築確認は行政の責任で行い、公共の責任において市民の安全を守るべきです。

そこで、伺います。今回の事件を教訓に、政府に対し、建築基準法を改正し規制緩和以前の状態に戻すことを要求すべきですが、いかがでしょうか。お答えください。

国を見守る(局長)

【住宅都市局長】

国の検討経過を見守りたい。

安全にかかわることは行政の責任で

【黒田議員】
今、小泉構造改革のなかで、「官から民へ」という言葉がはやし立てられています。何でもかんでも「官から民へ」というのは間違っています。今回の事件は、「官から民へ」という、まさにその走りとして行われた規制緩和がもたらしたものです。人の命と安全に関わるような規制緩和はすべきではありません。

「官から民へ」という前に、住民の命・財産にかかわる仕事は、行政の責任において、まっとうすべきではありませんか。これは、行政の最高責任者である市長にお聞きします。

業務のあり方の問題だ(市長)

【市長】
官とか民というより、建築確認業務のあり方そのものの問題だ。国の動向を注視していく。

安全より速さとコストを優先する民間には任せられない(意見)

【黒田議員】
建築確認は、行政に出すと、きちんと調べるから時間がかかる。民間の方が速く下りるというので、民間へとなる。私は、昨日、当局からいただいた資料を見て驚きました。本市における確認申請件数は、昨年度12,000件のうち、行政に提出されたものは、わずか1,600件、14%にしかすぎません。

私は、今回の事件が教えた教訓「官から民」への弊害、安全よりも速さとコストが優先されることは、本市における行政評価、外部評価にも相通ずるものがあることを指摘して、質問を終わります。

介護保険の制度変更について

地域包括支援センターは中学校区ごとに

【黒田議員】
介護保険制度は、来春から大幅な制度変更が行われます。要支援の全員と要介護1の7〜8割の人を新しい「要支援者」として、これまでの介護サービスから外し、「新予防給付」へ移行させるというものです。今、このことをめぐって高齢者や家族、介護サービス事業者、自治体関係者の間に不安の声が少なくありません。

そこで、以下3点について、健康福祉局長にお聞きします。その第1は、新しく創設される「地域包括支援センター」についてです。

介護予防のサービス利用計画(ケアプラン)は、基本的に「地域包括支援センター」の保健師(または経験のある看護士)が作成します。このサービス利用計画は、保健師1人あたりどれくらいの件数になるのか。名古屋市は、新予防給付の対象者は、28,60人と試算しています。「地域包括支援センター」は、各区1〜2か所、市内合計29の圏域に設置するとしていますが、単純計算では、1か所あたり1人の保健師等が1,000人近くも受け持つことになります。現在、ケアマネージャーの標準担当件数は50件ですが、これさえ多すぎるとして問題視されているのに、とても無理だとしか言いようがありません。ケアマネージャーに委託できるとは言っても、最終的に保健師が責任を持つことに変わりはありません。

市町村が責任を持つとされている「地域包括支援センター」は、本来、直営で設置し、運営すべきです。仮に、委託で行うとしてもその圏域は、責任の持てる範囲でなければなりません。各区1〜2か所というのは、保健師等が受け持つこととなる件数を考えてみても、とても責任の持てる範囲とは言えません。国は、概ね人口2〜3万人に1か所と想定しているようですが、本市にあてはめた場合、2万人に1か所としたなら110か所。中学校の数とちょうど同じになります。

そこで質問します。地域包括支援センターは、その圏域を少なくとも中学校区単位にすべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

各区1〜2カ所で(局長)

【健康福祉局長】
在宅介護支援センターに介護予防機能を付与して移行したい。

新「要支援」者へ筋トレを強要するのか

【黒田議員】
第2は、新予防給付についてです。新予防給付では、ホームヘルプなど既存サービスについて、「介護予防」の視点から内容や提供方法などについて見直しがされるとなっており、利用者や家族から「もうデイサービスに行けなくなるの?」とか「ヘルパーさんに援助してもらえなくなったら、生活できなくなる」といった不安の声が少なくありません。一方で、新たに「運動機能向上」等のサービスが導入され、介護予防事業でも「筋力トレーニング」のメニュー等が予定されています。

要介護度別の年齢割合をみると、要支援でも要介護1でも80歳以上が5割を超え、75歳以上では75%を超えています。このような高齢者に、筋力トレーニングが必要なのでしょうか。筋力トレーニングによって、かえって状態が悪化することの方が心配されます。

また、国会では、厚生労働大臣が「必要なサービスは制限されない」と繰り返し答弁しています。

そこで、お聞きします。保険者としての本市において、軽度者への介護サービスについては、必要なサービスがひきつづき現行水準で受けられるようにし、筋力トレーニングなど予防給付メニューは本人が希望しない場合は、ケアプランに含めないことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

強制はされない(局長)

【健康福祉局長】
国はモデル事業をもとに検討中。適正なケアマネージメントによるサービスは認められ、予防事業の強制はない。

新予防給付の実施時期を延期せよ

【黒田議員】
第3は、新予防給付の実施時期についてです。私は、先ほど「地域包括支援センター」について、中学校区単位への設置を求めましたが、それには、当然、それだけの体制が必要となり、ただちにとは、ならないでしょう。「新予防給付」について、厚生労働省は、準備が整わない場合は、2年間の猶予措置を認めています。新予防給付について、十分な検討・準備を行い、体制が整うまでは、実施しないことを求めますが、いかがでしょうか。お答えください。

4月から実施する(局長)

【健康福祉局長】
要介護者も保険給付費も急増しており、新予防給付は必要だ。

スタートから十分な体制で(意見)

【黒田議員】
介護保険について、包括支援センターの保健師は、「対象となる高齢者数に応じて必要な保健師等を複数配置する」との考えを示されましたが、アセスメントからプラン作成まですぐ準備に取り掛からなければなりませんから、将来のこととされたのでは間に合いません。スタート時から、具体化されるべきであることを、強調しておきたいと思います。

病児・病後児保育について

病後児保育は各区1カ所で

【黒田議員】
名古屋市次世代育成行動計画「なごや 子ども・子育て わくわくプラン」では、病後児保育事業について、21年度までに「5か所で実施」とありますが、はたして、これで市民のニーズに対応でき、子育て支援策として充分なものと考えているのでしょうか。

先週、10月にオープンした病後児保育室の利用者がわずか5人にとどまったことが発表され、市長のコメントとして「まだ風邪が流行する季節でないことや市内に1か所しかないこと」などを利用者の少ない原因と指摘し、「市民のニーズはあるはずなので設置場所を増やすことも検討したい」と述べた。と伝えられました。

私は、今回、民間の小児科診療所で行っている病児・病後児保育所の状況をあらためてお聞きしましたが、あるところでは、「昨日も8人。今日も8人」と答えられ、別のところでは、「毎日7〜8人」とのことでした。昨年、私が質問するにあたってお聞きしたときには、3〜4人から5〜6人と答えられていましたから、利用者は明らかに増え続けています。市長のいうとおりニーズはあるのです。ただ、子どもを預けて仕事に出かけるには、自宅や勤め先から遠ければ利用したくとも利用できません。市長のいうとおり、設置場所を増やさなければニーズには対応できないことは、明白です。

そこで、質問しますが、ほんとうに使いやすい制度として定着させるためには、少なくとも各区に1か所ぐらいの目標は掲げて当然ではないかと思いますが、いかがでしょうか? お答えください。

モデル事業の中で検証する(局長)

【健康福祉局長】
21年度までに5ヵ所の目標。モデル事業で検証する。

病児保育も「わくわくプラン」に

【黒田議員】
病児保育については、これまでも私を含めて何人かの議員が実施を求めてきましたが、当局は、必要性についてなかなか認めようとしません。政令都市では多くのところで、事実上、行われていることです。名古屋市内においても、民間の小児科診療所において、自主的に行われています。市民のニーズがあるからです。病児保育についても、わくわくプランに位置づけ実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

働き方の見直しを見守る(局長)

【健康福祉局長】
子どもの苦痛や不安を考えると、看護休暇など働き方の見直しの進展を見守りたい。

民間活力を生かせないのか

【黒田議員】
病児・病後児保育に共通することですが、市民・企業・行政のパートナーシップといいながら、このテーマに限っては、民間の力を活用するという考えがなぜ、出てこないのか。現に、実践している民間の小児科医院等に委託するとか、あるいは支援するとかすればすぐにでも施策を前進させることができるではありませんか。試行的実施というのは、民間で既にやられていることです。民間でやっているところの話を聞き、応援するくらいのことがなぜ、できないのか。民間への委託もしくは支援策について、どのようにお考えか、お答えください。

総合的に検討したい(局長)

【健康福祉局長】
病後児保育のあり方について総合的な観点で検討したい。

他都市はどこでもやっている

【黒田議員】
病児保育について、前向きな答弁が返ってこないのは、大変残念に思います。子どもが突発性の病気になったりした時に、簡単に仕事も休めない。そのときに病児保育という制度があれば、それが子育て支援策なのではありませんか。

民間を含めた運営方法や施設配置の考え方として、「総合的な観点から検討していきたい」との答弁でありましたが、他都市における「病後児保育」は、実態として、病児への対応も行われていることや、国も来年度概算要求の中で、「病児・病後児保育」という言葉をつかっていることを踏まえ、病児も視野に入れた対応を強く求めておきたいと思います。