2005年度一般会計予算にたいする反対討論

2005年3月16日

【田口かずと議員 】

 私は、日本共産党名古屋市会議員団を代表して、新年度一般会計予算に反対する立場から討論を行います。

 いま、小泉内閣が進める増税と社会保障の負担増が、名古屋市民の暮らしを圧迫しつつあります。わが党の村瀬議員が代表質問で明らかにしたように、定率減税の半減、老年者控除の廃止、高齢者の住民税非課税限度額の廃止などの大増税によって、国民健康保険料や介護保険料、敬老パスなど雪だるま式に負担が増えます。とりわけ高齢者への影響は、その負担増が3倍、4倍にものぼる世帯も生まれようとしており、きわめて深刻です。
こうしたときだけに、地方自治体は、国の悪政から市民の暮らしを守る防波堤の役割をはたさなければなりません。ところが、松原市長は、「増税路線の中止を求めよ」というわが党の代表質問にたいして、増税路線に異議を申し立てないばかりか、市が独自に決められる国保料や介護保険料の軽減措置も講じようとしていません。これでは、市民の暮らしはますます悪くなるばかりではありませんか。新年度予算には、市民の暮らしに冷たいこうした市長の姿勢が現れています。
  以下、具体的に反対する理由を申し上げます。

 反対する理由の第1は、市長選挙を控えた年度の当初予算にもかかわらず、「骨格予算」にしなかったという、有権者の審判を軽視する予算編成となっているからであります。
 市長選挙を控えた年度の当初予算は、継続事業を中心に編成し、新規の事業については、市長選挙で市民の審判を仰いだ新しい市長にゆだねるという趣旨から、必要最小限の「骨格予算」とするのが通例でした。ところが、市長は、4年前に続き今回もこの慣例をやぶり、財源を使い切った「本格予算」として予算を編成されました。
市長は、「骨格予算」にしなかった理由として、「新世紀計画2010」第2次実施計画を着実に実行し、一刻の猶予も停滞もすることなく対応していくためとされました。しかし、予算に盛り込まれた新規の事業の中には、緊急性や必要性のない事業が少なくありません。
 その一つが、産業技術未来博物館構想であります。市長が、「ポスト万博」の目玉の一つとして、自らのマニフェストで打ち上げた産業技術未来博物館構想は、新世紀計画2010にも、その第2次実施計画にも登載されていない事業です。第2次実施計画の登載事業というのは、効果が高く、緊急性があり、3年間で重点的に実施する事業とされていることからも、計画に登載されていない産業技術未来博物館は、効果の低い、緊急性のない事業といわなければなりません。また、当地域には、「ノリタケの森」や「でんきの科学館」など20をこえる産業観光施設がある中で、本市が関わって新たな施設をつくる必要があるのでしょうか。しかも、「民間でできることは民間に」と唱えて行政改革に取り組んでいる名古屋市が、民間でできる、民間がやっている産業観光などの分野に深く関与する妥当性もないのであります。
 わが党は、一昨日、市長にたいして予算の組み替え案を提出いたしました。それは、本予算を「骨格予算」とするために、新規事業のうち市長選挙後の補正予算で対応できる事業や、継続事業でも不要不急の大型公共事業などを見直すことによって、新しい市長の裁量にゆだねられる財源を十分に残すものとなっています。この方向での予算の組み替えを強く求めたところであります。

 反対する理由の第2は、「都市再生」や「産業活性化」の名のもとに、これまで以上の大企業優遇策が、「ポスト万博」として推進されようとしているからであります。
 本予算では、松原市長が構想する「ポスト万博」の輪郭が浮かび上がりました。それは、大企業のための新たな大型開発である「都市再生」をいっそう推進するとともに、財界などがすすめる「グレーター・ナゴヤ・イニシアチブ」、すなわち大名古屋経済圏構想にもとづき、外資系などの企業誘致による「国際ビジネス拠点都市」をつくろうというものにほかなりません。
 まず、「都市再生」事業についてです。名古屋駅前では、豊田毎日ビルと牛島南ビルに、新年度予算で加わった三井ビルという3つの超高層ビル建設が進められています。この3つの超高層ビル建設に名古屋市は、新年度予算で18億円余、累計で42億円余もの補助金を支出しようとしています。豊田毎日ビルには、トヨタ自動車の国内部門だけでなく、東京本社の海外営業部門も移ってきます。1兆円をこえる空前の大儲けをあげているトヨタのビル建設のために、どうして巨額の税金を投入しなければならないのか、という市民の憤りの声が広がっています。ところが、当局は、委員会審議の中で、「行政は民間の開発を支援する。抑制はしない」と答え、大企業のための大型開発をいっそう推進しようとしているのであります。
 次に、企業誘致についてです。本予算では、外資系を含めた企業誘致のための産業立地促進助成が創設されています。その一つである都心部事業所開設促進助成は、市内に初めて進出し、都心部に事業所を開設する企業にたいし、建物賃借料の3か月分を補助するものですが、委員会審議の中では、豊田毎日ビルに入居する予定のトヨタ関連の企業も、条件を満たせば助成対象となることが明らかになりました。企業に来てほしいからというよりも、進出をもくろんでいる企業にまで助成するものであり、ビル建設への補助金投入とあいまって、まさに、トヨタとその関連企業への大盤振る舞いであります。
 「元気な名古屋」と市長もさかんに言われますが、元気なのはトヨタなど大企業だけではないでしょうか。市内の中小の事業所は減り続けています。大型店の無秩序な進出を許し続ける松原市政のもとで、商店街の衰退も目に余るものがあります。ところが、金融対策費や企業誘致の助成などを除いた純然たる商店街・中小企業支援の予算は、わずか9億円余。これは、一般会計予算の0・09%にすぎず、先に述べた3つの超高層ビル建設の補助金18億円余の半分という、たいへんお粗末な中小企業予算となっています。
 不況に苦しみ、汗水たらして働く市内の商店や中小企業・業者の支援よりも、トヨタや外国企業など国際ビジネスを展開する企業の集積を応援する――市長のめざす「ポスト万博」では、市民の暮らしも、中小企業の営業も、守れないのであります。
 本市が愛知万博のためにつぎ込んできたお金は、会場建設費と名古屋市パビリオン、ささしまサテライト事業、ネキスポシティ・シンフォニー事業だけで、新年度予算を含めて156億円にものぼります。愛知万博に莫大なお金をかけた後は、今度は予算を市民の暮らしのために振り向けるべきはありませんか。「ポスト万博」は暮らし――これが、多くの市民の願いであります。

 反対する理由の第3は、「行政評価」をテコにして、「受益者負担」にもとづく市民への負担増と市民サービスの切り下げが進められているからであります。
 本予算では、「行政評価」によって休・廃止や見直しの検討とされた事業が次々と廃止されています。
 高齢者福祉の分野では、要介護認定された住民税非課税世帯に支給されてきた要介護高齢者等福祉金が廃止されます。これは、市当局も、「利用者負担の軽減策」と位置づけてきたものであり、前回の市長選挙では、市長の確認団体の法定ビラでも「名古屋だけ」と自慢していた高齢者福祉施策の一つです。この廃止によって、「名古屋だけ」の高齢者福祉施策はすべて改悪されてしまいました。訪問介護の利用者負担の軽減策の廃止とあいまって、低所得の高齢者に重い負担をしいるものです。
 障害者福祉の分野では、市職員のホームヘルパーが廃止されますが、1級のヘルパー資格を有し、経験豊富な職員ヘルパーの廃止は、本市の福祉行政にとって大きな損失だといわなければなりません。また、障害者支援費施設の自己負担金の引き上は、障害者に負担増をもたらすものです。
 子育て支援では、ようやく病後児保育のモデル事業が始まりますが、利用料は8時間を越えると1日4000円にもなり、1日2000円程度の他都市と比べて高額になっていることは問題であります。
 教育の分野では、小・中学校の標準運営費がさらに10%カットされ、2001年度と比べて生徒一人当たりでは、小学校で33%、中学校では30%もの減額です。また、市営の冷水プールは、児玉プールと緑プールが廃止され、7か所のプールの管理運営が、指定管理者制度によって民間の営利企業にゆだねられてしまいます。
 松原市長の在任中の8年間は、敬老パスの有料化や福祉給付金制度の改悪をはじめとして、福祉の後退や公共料金の値上げ・有料化などの連続でした。その市民犠牲の項目は、新年度予算を含めると102項目にものぼるのであります。

 反対する理由の第4は、憲法第9条に反する有事法制の一環としての国民保護法にもとづく業務に着手しようとしているからであります。
  国民保護法にもとづく「国民保護計画」とは、住民避難と称して、戦争の遂行に邪魔になる住民を排除するための計画を自治体に義務づけるものにほかなりません。しかも、自治体にたいして、自衛隊との共同訓練、平時からの戦時訓練の実施を求めるとともに、自主防災組織、すなわち住民の自治組織である町内会・自治会に戦争協力を事実上強制するものとなることは明らかです。国民保護業務の具体化は、戦争放棄を定めた日本国憲法の立場とは相容れないものであります。

 以上、当初予算に反対する理由を申し上げてきました。
  戦後60年の今年、わが党は、憲法と暮らしを守る名古屋市政への転換をめざして全力を尽くす決意を表明して、私の反対討論を終わります。