議案質議(9月17日) わしの恵子議員

「安心・安全で快適なまちづくりなごや条例」
路上禁煙への罰則で安全な街になるのか
児玉プール・緑プールをなくさないで

《安心・安全で快適なまちづくりなごや条例の制定について》

条例化で生活がより安全になるのか

【わしの議員】最近、多くの地方自治体が、犯罪の防止や市民の安全を目的に掲げて「生活安全条例」を制定していますが、本市もこの流れを受けて、今回条例を制定しようというものだと思います。確かに条例の制定によって、市民の生活がより安全になるのなら結構なことですが、はたしてそうでしょうか。

私は、この条例案の問題についてお伺いします。

なぜ条例が必要なのか

【わしの議員】市長にお聞きします。今回の条例案は、犯罪の防止やポイ捨て、違法駐車等の防止など法律や既存の条例で対応できるものがほとんどで、新たな規定は、喫煙者の責務と路上禁煙地区の指定、空地の所有者等の責務、落書き等の禁止の3つに過ぎません。またそれらについても、まちづくり学区懇談会で出された1400を超える意見のうち、路上喫煙0.5% 空地の不適切管理0.4% 落書き0.3%と極わずかでしかありません。それにもかかわらず、なぜいま新しい条例が必要なのかおたずねします。

既存条例を総括、街づくりの背骨になる条例だ(市長)
【市長】この条例は安心安全で快適な環境に関する市民の身近な課題につき、市民、事業社者及び市がそれぞれの役割のもと、協働して取り組みをすすめることにより、安心安全で快適なまちの実現をめざすことを目的としている。違法駐車及び犯罪の増加、路上喫煙、落書き、ゴミのポイ捨てなど安心・安全、快適性の面での課題は、行政だけでなく市民運動の展開により解決すべきものという課題だと思っている。
既存の条例の精神を総括的に盛り込み、新たな課題を加えて街づくりの背骨となる条例とした。

県条例による協議会と重ならないか

【わしの議員】次に第5条で、「市は、市民及び事業者と協働し、公共的団体及び関係機関の参画を得て、区ごとに安心、安全で快適なまちづくりを推進するための組織を整備する」とあり、関係機関すなわち警察と連携した組織を区ごとに作ることになっています。

しかし、今年3月に制定された愛知県条例に基づき、行政、警察、区民等の代表者により、もうすでに、全区で「安全なまちづくり推進協議会」も作られています。このうえ新たな組織をつくるとなれば、学区の役員の負担は大変になるばかりです。

なぜ同じような組織を新たに作るのでしょうかお聞きします。

重なるところはあるが、調整をする(市長)
【市長】県条例にもとづく協議会との関係ですが、行政・警察・事業者あるいは区民、民間団体が連携して、一体となって安全な街づくりを推進するための組織として8月末までに全区で設立された。区ごとに組織する市民活動を推進する組織は、防犯、違法駐車、ゴミのポイ捨て、落書きなど地域の身近な課題に総合して取り組むことにしている。犯罪の防止に向けた取り組みとしては愛知県条例にもとづく協議会と構成員・活動が重なるところがある。今後区ごとに安心安全で快適なまちづくりを推進するため、簡素で効率的な運用をはかることなどについて県警等と調整をはかっていく。

住民パトロールは住民の相互監視だ

【わしの議員】また、このような組織がつくられれば、学区や町内会などにも警察がかかわってくることになり、住民パトロールなども頻繁に行われることになるでしょう。こうしたパトロールも行き過ぎれば、住民がお互いに監視しあうことになり、本来の住民自治に反するのではと危惧するものですが、市長の考えをお聞きします。

協働して防犯に取り組み犯罪のないまちに(市長)
【市長】昨今の犯罪の増加状況を見ると、犯罪が身近で起きることが現実となってきており、とりわけ高齢者をねらった引ったくり、あるいは車上狙い、毎日のように新聞紙上をにぎわしている。住民パトロールが犯罪発生の抑止効果につながるところから、住民が自主的なパトロールをしている記事をよく見る。自分たちの町は自分たちで守るという意識が地域のなかで生まれてきている。昨年アンケートを実施したときは、261学区中約160学区で実施されていた防犯パトロール、9月現在では211学区で取り組まれている状況にある。市としても今回の条例の中で犯罪の防止について新たに規定し、市民における市民や事業者の防犯パトロールに関しても支援・指導するつもりだ。市民、事業者、市がそれぞれの役割のもと、協働して防犯に取り組むことによって犯罪のないまちをめざしていきたい。

路上喫煙の過料はいきすぎだ

【わしの議員】具体的な問題で環境局長にお聞きします。条例案には、路上禁煙地区内の道路上で喫煙した者は、2万円以下の過料を徴収するとされています。私は、人ごみのなかでたばこを吸うことは、大変危険ですし、受動喫煙の問題もあり、禁煙区域を設けることは必要と考えます。しかし、すでに「生活環境条例」を施行し、過料を徴収している千代田区を例にとると、警察官OBを非常勤職員として採用するとともに、管理職員も大動員でパトロールを行い、1日に10名から20名もが過料処分を受けているそうです。また、大々的なキャンペーンなどにも莫大なお金を費やしているそうです。路上禁煙地区で罰則を設け、過料を徴収することは、人件費やキャンペーンなど多大な財政負担をもたらすばかりか自治体が住民を取り締まる機関に、自治体の警察化ともいえる事態になりかねません。路上禁煙地区での罰則についての可否についていかがお考えでしょうか。

実効性を確保するために過料を設定した(環境局長)
【環境局長】路上禁煙地区の過料については、市民・事業者と協働してキャンペーンやパトロールなどの十分な広報・啓発を行っていきたい。状況によっては実効性を確保するために過料を設定したものだ。有識者懇話会においても、十分な広報・啓発を行なうことが必要であり、その上で最終的な方法として、過料を課すこともやむをえないとの意見をもらった。過料の設定は実効性の確保のために必要と考える。

市民合意について

【わしの議員】そもそも、市長は、市民参加による条例制定を謳っていますがそうでしょうか。この間のまちづくりアンケートや、学区懇談会も、区政協力委員など限られた人々が対象であり、しかもなんの目的なのか十分な説明もなかったと伺いました。また、全区で開催された区の懇談会で幅広く市民から意見を聞いたといわれるが、路上喫煙禁止一つとってもパブリックコメントで賛否両論あるように、あまりにも性急な提案ではないかと思います。市長は、条例制定について市民合意が出来ていると考えているのかお尋ねします。

1年かけて議論した(市長)
【市長】条例制定にあたり昨年12月から市民アンケートを実施し、地域ごとに課題を取りまとめ、課題について今年2月から各区で懇談会をしてきた。様々な機会に幅広い市民の皆さんの意見をうかがい、約1年かけて地域の課題対策に出てどのようにしていくのかの議論をしてきた。この度、条例案を取りまとめ、提案させていただいた。

《名古屋市プール条例の一部改正について》

児玉・緑プールを廃止しないで

【わしの議員】この条例案は、児玉プールと緑プールを廃止するものです。両プールの市の行政評価は昨年度Bで、他のプールと同じでした。ところが、今年度の評価は二つのプールだけがDに変わりました。昨年の外部評価Dを受けてのことと思います。これでは、まさに廃止ありきの行政評価ではないでしょうか。私は、夏休みも終わりに近い3日間ほど、児玉プールに通って「来年からプールが廃止されたらどうする?」と声をかけました。みなさん、本当にびっくりされ「どうしてなくなるの、プールはとっても楽しいし絶対なくさないで」と子どもたちから必死に声が上がりました。

地元学区の子ども会からは、「子ども会の行事で児玉プールを利用している。子どもたちの夢を奪っていいのか」と抗議され、枇杷島スポーツセンターの近くの学童保育所からは、「毎年、夏休み中に8回位、児玉プールに行っています。なくなったら本当に困ります」という手紙も頂きました。

市長、あなたは夏休み、お友達や家族と楽しくプール遊びをしている子どもたちから、プールを取り上げることについてどのように認識されているのでしょうか。

老朽化して利用も少なく、代替施設もある(市長)
【市長】市民プールは市内で16ヶ所運営されている。児玉・緑プールは建設後相当年月を経過し、老朽化により延命策を施しながら、運営しているのが実情だ。また、利用者についても市民プール全体で減少し、過去10年間で(平成7年から)半減している。そういう中で、児玉プールは枇杷島スポーツセンターや山田西プールが、緑プールは緑スポーツセンターや鳴海プールがそれぞれ順次整備され、市民プールの代替施設として利用できる。そこで老朽化のすすんだ児玉・緑プールについては利用状況や温水プールの状況を総合的に見て今年度をもって廃止にしたい。