2002年度一般会計決算の認定に対する反対討論

田口一登議員
2003年10月10日

市民に負担を押し付け、大型開発でムダと浪費

市民負担で市民生活の不安を拡大

 反対する理由の第1は、老人医療の切り下げや公共料金の値上げなど市民への負担増が押し付けられ、市民の生活不安を広げるものとなったからです。

・老人医療・福祉給付金を切り下げ

 老人医療費助成と福祉給付金の対象年齢が、73歳まで段階的に引き上げられることになり、昨年10月からは68歳になっても医療費の助成を受けられなくなりました。こうした老人医療の切り下げは、今年度における福祉給付金のさらなる対象者の削減へとつながり、国の医療制度改悪とあいまって、医療費の負担増のため受診を抑制する高齢者を増やしています。

・保育料などの公共料金値上げ

 公共料金の値上げは、保育料や市立幼稚園・高校の授業料や入学金、高年大学の授業料などにおよび、スポーツセンターなどの駐車場や火葬料も有料化されました。まさに、ゆりかごから墓場まで、5億円を超える負担増となったのです。
 これらは、小泉内閣の悪政によって生活の不安を抱いている市民にたいして、さらなる痛みを強いる冷たい仕打ちと言わなければなりません。

万博や都市再生などでムダと浪費の助長 

 反対する理由の第2は、愛知万博や都市再生事業など大型開発のムダと浪費が助長されたからです。

・世界最大の万華鏡が「自然の叡智」か

 万博計画は、二転三転の末、「地球大交流」というコンセプトが前面に押し出され、「自然の叡智」というテーマが背面に隠れてしまいました。環境破壊・浪費型に逆戻りです。重大なことは、万博関連の笹島サテライト事業と名古屋市パビリオンも、万博のテーマとかけ離れた浪費型の事業になろうとしていることです。笹島サテライト事業で計画されている移動遊園地やライブハウスが「自然の叡智」なのでしょうか。名古屋市パビリオンとして計画されている高さ40メートルの世界最大の万華鏡が「自然の叡智」なのでしょうか。しかも、その財政負担は、笹島サテライト事業では、会場基盤整備に運営費などを加えると、優に10億円を超えるでしょう。名古屋市パビリオンに至っては、事業費の見積もりさえおこなわれておりません。これでは、どんなに市財政がひっ迫していても、万博関連だったらお金に糸目をつけないということではありませんか。

・万博関連ならいくらになってもかまわないのか

 都市再生事業は、新たな装いのもとで大型開発を推進しようとするものであります。その一つ、名駅四丁目7番地区開発、すなわち豊田・毎日ビルの建て替え事業は、「都市再生特別地区」の指定を受け、建物の容積率が1000%から1420%に緩和され、高さもJRツインタワーズをしのぐ247メートルへとかさ上げされました。この超高層ビル建設に本市は、14年度だけでも4億6千万円の補助金を支出しましたが、約837億円にものぼる総事業費のうち、本市の補助金総額がどれだけになるのか、いまだに明らかにされていません。都市再生は、愛知万博と中部国際空港建設が終わった後も、大型開発事業への際限のない税金投入を進めるものとなるでしょう。

・名古屋市は徳山ダムの水は不用

 徳山ダム建設のために、一般会計からは2億3千万円が出資されました。しかし、水道でも工業用水道でも、水余りは明らかであり、徳山ダムの水は、まったく使うあてがありません。それなのに、ダム建設のために出資したことは、ムダづかいの典型です。

・市民には犠牲、公共事業の借金を積み増し

 反対する理由の第3は、「行財政改革」・「財政健全化」路線が、大型開発を聖域にしながら、財政危機のツケを市民に転嫁するものとなっているからです。

・「行政評価」が福祉と暮らしの予算削減のテコに

 「行財政改革」の一環として14年度に策定された「公的関与のあり方に関する点検指針」は、「民間でできることは民間に」という見地から、民営化・民間委託などをいっそう押し進め、「受益者負担の適正化」の名のもとに、公共料金のさらなる値上げと有料化を促すものとなっています。「行政評価」の外部評価では、敬老パスについて見直しの検討が打ち出されるなど、「行政評価」が福祉と暮らしの予算を削減するテコにされつつあります。

・市民犠牲の見返り=財政健全化債

 14年度に初めて発行された「財政健全化債」は、公共料金の値上げや職員の削減などに取り組んでいる自治体にたいして、国が許可しているものです。市民に犠牲を強いながら、公共事業の借金を積み増しするこうしたやり方は、到底、認めるわけにはまいりません。

 以上の反対理由を申し上げ、一般会計決算の認定についての討論を終わります。