名港管理組合2022年3月議会 江上博之議員の一般質問  ロシア侵略と名古屋港及びコロナ後の在り方 (2022年3月26日)

ロシア侵略と名古屋港の貿易・コロナ後を見据えた名古屋港のありかたはどうなるのか 江上博之議員

名古屋港とロシア及びウクライナとの取扱貨物は
【江上議員】ロシアのウクライナ侵略は許せません。ロシアは即刻撤退することを求めます。このロシア侵略によって、世界の経済が大変な事態になっており、貿易でも影響が出ています。名古屋港とロシア及びウクライナとの取扱貨物について、どのくらいの貨物量で、どのような品種なのかお示しください。

ロシア及びウクライナとの取扱貨物量は約345万トン、外貿貨物量全体の約3.0%
【企画調整室長】2021年におけるロシア及びウクライナとの取扱貨物量は約345万トンで、外貿貨物量全体の約3.0%にあたります。そのうち、輸出貨物量は約102万トンで、主な取扱品種は自動車部品や完成自動車となっています。輸入貨物量は約243万トンで、主な取扱品種はLNGや石炭となっています。

ウクライナの平穏な生活を取り戻すよう、様々な支援を行うことが求められている(意見)
【江上議員】ロシアのウクライナ侵略によって名古屋港も影響を受けます。貿易量は少ないようですが、エネルギー資源の影響はこれからも続きます。なによりロシアがウクライナから撤退し、ウクライナの皆さんの平穏な生活を取り戻すこと、その間、様々な支援を行うことが求められています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


変革の時代における名古屋港のあり方をどうみているか
【江上議員】新型コロナウイルス感染症、特に、オミクロン株が感染急拡大で、名古屋港管理組合にも感染者が出ています。2年前、こんなにコロナで悩まされるとは思いもよらない事態が続いています。港湾について、2年前の2020年3月議会で、コロナ禍によってグローバルサプライチェーンに大きな影響が出、海外からの輸入・輸出のあり方が変わるのでないかと指摘しました。マスクがなくなり、トイレ改修の部品がない、暖房のエアコン修理もままならない、安い人件費をあてこみ、中国や東南アジアへの工場移転の付けが回ってきたのでないかと指摘しました。安い人件費の影響は、国内での非正規労働者、特に若者が大きな影響を受けています。いま、半導体不足、自動車部品の不足も言われています。国内での生産回帰が求められています。正規労働者が求められています。
 さらに、気候危機が叫ばれ、地球そのものの異変が言われています。日本では、毎年の豪雨被害が出ています。猛暑もあります。世界では、カリフォルニア、オートストラリアなどで山火事が頻発しています。南極・北極の氷山が解け、海面上昇で、海洋諸国で暮らしていけなくなっています。産業革命時から地球の平均気温が1.2℃上がり、1.5℃を超えたら大変と、国連は2050年までにCO₂実質排出ゼロ、まず、8年後の2030年までに2010年比で45%削減を求めています。大変な削減率です。
 そのためには、ガソリン自動車から電気自動車への転換が求められています。私たちが住むこの地域は、モノづくり産業、特に自動車産業で栄え、名古屋港も自動車関連の輸出入で成り立っています。ガソリン車から電気自動車になれば、部品が半減し、今あるものづくり産業が衰退してしまいます。ワザを残すには、新たの業種、例えば、省エネルギー、再生エネルギー分野への事業転換が急速に求められています。
 このような時代変革のもと、名古屋港の貿易形態も大きく変わるのでないか。コロナ禍以前とは異なる方向性を急いで検討するときでないかと感じています。
 そこで、副管理者に質問します。今あげた理由から、名古屋港のあり方を急いで見直すことが必要と考えますが、どのように認識しているのか質問します。

カーボンニュートラルポートの実現に向けた施策に適時的確かつ柔軟に対応していく(副管理者)
【専任副管理者】これまでも時代の変化に合わせ、船舶の大型化への対応や物流の効率化を図るため、コンテナや完成自動車の取扱機能の強化や、国内初の自働化ターミナルなど先進的な取組を官民一体となって進め、我が国を代表する国際港湾に発展してきた。
 近年、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国際物流への大きな影響により、コンテナ船のスケジュールの乱れや半導体不足など、サプライチェーンにおけるリスクが顕在化している。
 この地域の基幹産業である自動車産業は、100年に一度と言われる大変革期を迎えており、電気自動車への対応など、関連産業を取り巻く環境は大きく変化しつつある。
 さらに、脱炭素社会の実現に向け、世界が動き出している中、港湾では、水素をはじめとする次世代エネルギーの大量輸入や貯蔵、利活用等を図ることにより、カーボンニュートラルポートの実現に向けた施策を強力に推進していくことが求められている。
 港湾を取り巻く環境の変化や新たな要請に対し、港湾利用者のニーズをとらえながら、適時的確かつ柔軟に対応していくことが重要と考えている。今後とも、官民一体となって背後圏のものづくり産業や県民市民の皆様のくらしを、物流面からしっかりと支えることができるよう取り組んでいく。

新型コロナによる名古屋港への影響や気候危機打開の中で、「大変革期」を迎えている(意見)
【江上議員】新型コロナウイルス感染症の拡大によって見えてきた名古屋港の影響。気候危機打開が求められている中で、100年に一度といわれる「大変革期」を迎えており、大きな変化にどう取り組んでいくか、特に自動車を中心とするモノづくり産業地域を後背地とする名古屋港のこれからの取り組み姿勢をお聞きしました。そのような中で、新年度の企画調査も取りあげられたと思います。

基礎調査を実施する理由や背景と調査の内容は
【江上議員】新年度予算の企画調査で、「物流・産業を取り巻く環境変化への対応に関する基礎調査」があげられています。どのような理由・背景から提案しているのでしょうか。国からの補助や国からの提言があったかどうかも含めてお答えください。提案している基礎調査の内容、何をおこなおうとしているのかを明らかにしてください。

物流、産業に関する新たな動向を把握し、今後のコンテナ物流や企業立地に関する施策の方向性について独自に検討する
【企画調整室長】国が2021年6月に策定した「総合物流施策大綱」では、人口減少の本格化や労働力不足などを背景として、自動運転やドローンの活用といった新技術の導入などの取組を推進し「物流DX」に取り組んでいく方向性が示されている。
 トラックや物流倉庫の共同利用などにより物流の効率化を図ることを目的とする、フィジカルインターネットの実現に向けた議論も進められている。
 愛知県が2020年11月に策定した「あいちビジョン2030」では、自動車産業を始め、ロボット産業やその他のあらゆる産業において、イノベーションを巻き起こす力強い産業づくりを推進していく方向性が示されている。
 そのため、「基礎調査」では、専門家や先進的な取り組みを進めている民間事業者等にヒアリングを行いながら、物流、産業に関する新たな動向を把握し、今後のコンテナ物流や企業立地に関する施策の方向性について検討する。
 本調査は、独自に率先して行うものであり、単独費として、来年度の予算案に計上した。

本調査における電気自動車では同のような認識か(再質問)
【江上議員】今回の調査において、電気自動車にかかわる認識についてどのようなことを考えているのかお答えください。

自動車産業の新たな動向として物流面での変化の可能性などを調査研究したい
【企画調整室長】電気自動車についても、本港にかかわる自動車産業の新たな動向として、物流面での変化の可能性などについて、しっかり調査研究していきたい。

コロナ後の社会の在り方について複眼で大変革時代の港湾行政を進めよ(意見)
【江上議員】コロナ後の社会を見据えるとき、人口減少の本格化や労働力不足が前提で国の施策が進められています。今回の国の「総合物流施策大綱」もそうです。
 大変厳しい状況を前提に調査、施策を進めることは必要です。ただ、その前提がその前提でいいのかという点があります。現状が少子高齢化人口減少だから、生産年齢人口が減って、労働力不足になるという考えです。しかし、高齢化は、自然現象で、長生きすることはいいことですが、少子化は、自然現象でなく、この間の海外への安い人件費を求めていく中で、国内においても非正規労働が増え、特に、女性の非正規労働の比率が高く、低い賃金によって、経済的に不安定で、そのことによって、結婚したくてもなかなかできない、結婚しても、子育てにお金がかかる、このような条件が少子化の大きな原因ではないか。正規労働者を増やし、経済的に安定することが少子化に歯止めがかかると国も認めています。その施策を進めていくことが大変重要だと考えています。
 コロナ対策に全力を尽くすとともに、コロナ後の社会の在り方について、複眼で見ながら、大変革時代の港湾行政を進めていただくことを求めて質問を終わります。

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